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2010年4月25日 (日)

日本政府財政破綻論の正体

陰暦 三月十二日

 日本政府の財政破綻がアンゴルモアの大王並みになかなか実現しません。貯蓄過剰で需要不足の国が破綻するのは難しく、もし破綻するとしても、欧州やロシアや支那やさらに米国が破綻した後でないと日本は破綻したくてもできないのですが、なぜこれほどまでに根強いのでしょうか。

 一般の人は国家の債務と個人の債務を同一視して信じているだけなのでしょうが、経済のことがそれなりにわかっている立場の人も頑強に破綻論を唱え続けています。彼等はスポンサーがいないと活動ができませんので、破綻論によって得をしている人がいるはずです。

 日本の財政破綻論で得をしそうなのはどういう人かと考えたところ、国外と国内に一つづついることがわかりました。

 まず国外ですが、例えばギリシャは政府債務の対GDP比で言えば日本よりも低いのに旦暮にも破綻しようとしています。何故かというと国債の国外保有者が多いのと利子の支払いが巨額だからです。国債の利子支払いが巨額になれば債務総額が大したことがなくても破綻します。GDP比で言えば日本の利子支払いは先進国の中では一番低いのです。

 このように破綻するかどうかを考える時に本当に大事なのは利子支払いですが、これが表に出ると国の信用が落ちるので大多数の国は利子支払いから世間の目をそむけたい。だらか名目額が巨額な日本の財政破綻を煽ることによって、自国のリスクから目をそむけさせようという魂胆です。

 日本の格付けを下げれば、名目額が相対的に低い欧米諸国の格付けを下げずに済みます。日本は国債を国内で消化できるので、格付けを下げても実害は生じません。良いようにダシに使われていると言うことです。格付け会社も結局自国の利益しか考えていませんからね。

 もう一つは国内の金融機関です。財政破綻を煽れば国債の価格が下がります。そこで国債を買います。しばらくすれば危機感が収まって国債の価格は上がります。そこで国債を売ります。差額が懐に入ります。こうやって利鞘を稼いでいる人が少なからずいるのでしょう。

 しかし日本よりも財政状況がよいとされてきたはずの欧州諸国が次々と実際に破綻の危機に面して、日本財政破綻論も行き詰まってきました。日本よりも財政状況がよいはずの国が日本よりも先に破綻しては格付けも面目丸つぶれです。利率の部分では既に格付けは破綻しているんですね。なんで日本よりも格が高いはずの国が日本よりも数%高い利子(しかも実質で)を国債に付けなければならないのか。

 こうやって財政破綻を唱えてきた面々にとっては日本が無事で、今まで褒めちぎってきた国々が次々破綻するのは避けたいので、どうしても日本に財政を好転するような行動を取ってもらわないと立つ瀬がありません。ここに来てにわかに日本で増税が脚光を浴びるようになり始めた背景です。

 本来日銀と協力的と見られてきた谷垣総裁がリフレ政策を採用したのは、やはり日銀も純粋な増税だけでは景気を橋本政権時のように奈落の底へ突き落とす危険性があることを熟知しているからです。日銀というのは国際的な金融の動きをよく見ています。価値判断は一般とはズレていますが、よく見ているのは間違いないです。日銀もFRBもECBもですが、彼等は既に国家の統制を離れて国際的な整合性の方を重視して動くようになりつつあります。これが良いことなのか悪いことなのかは簡単には判断が付きません。おそらく日本はこの中央銀行の協調によって得をする立場にあると思うのですが、中規模の国はこれからは詰め腹を切らされるようなこともあるでしょう。

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