欧米人の原爆マリア像の感じ方
陰暦 四月一日
長崎市民が原爆マリア像(市の中心部の境界に安置されていて被爆したが燃え残ったマリア像)を米国に持っていきミサを開催しました。原爆の悲惨さを伝える効果は充分あったとは思うのですが、日本人が考えるような感情を欧米のカトリック信者が感じたかというと多少違うかもしれないと私は思っています。
日本人の場合「ありがたいマリア様を黒こげにするような原爆はけしからん」という感じ方をし、被爆者も米国人がそのような感情を持つことを期待したと思うのですが、欧米のカトリック教徒の感じ方は「原爆の灼熱地獄にも負けなかったマリア像は素晴らしい奇蹟だ!」ではなかろうかと思うのです。
多分被爆者への同情よりも、原爆マリア像の有難味への感動の方が優先していると思います。ミサ出席者の感想もそんな主旨が多かったです。だから原爆マリア像を見て感動したと向こうの人がいったからといって、じゃあ彼等が原水爆禁止運動に協力するようになるかというと違うだろうことを日本の被爆者たちは頭に入れておいた方が良いでしょう。
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コメント
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すみません。べっちゃんさん。昨日のコメント消してもらえませんか?
書きこんだ記憶が無くて(昨日は飲んでまして・・・。)御免なさい。
本来は、このエントリーのマリアをべっちゃんさんも、長崎の原爆マリア像を「黒マリア」とみているですか?と聞くはずでした。
「主の変容日」8月6日・9日に原爆を投下し、「聖母の被昇天日」に、無条件降伏した。その経緯からすれば、「有難いものを穢された」感情より、「つまずきに耐えられるように、心を準備すること」の象徴としての「被爆マリア」は「神の試練」に耐えた証なのだということなのてしょうか?
投稿: 保守系左派 | 2010年5月15日 (土) 14時28分
ちょっとアパートのネット環境に不具合が生じて接続ができない状態でした。
日本の被爆者は、マリア像をこんなにした、あるいは同じカトリックを苦しめた原爆への問題意識が欧米で高まることを期待してのミサだったと思います。
もちろん欧米人にもそのような感情は怒ったでしょうが、それ以上に彼等の場合、「原爆は恐いけれど、その灼熱地獄にも焼け残ったマリア像はすごいなあ、やっぱキリスト様とマリア様はありがたや」と日本人への同情よりも、マリア像の有難味の再確認の方向に進みがちだと思います。
そのうち原爆マリア像を根拠に「キリスト教を信じれば核戦争を生き残れる!」なんてことを言い出す聖職者も現れるかもしれません。
今回のミサが成功したからといって、日本人が原爆に持っている感情が向こうに共有されたかというと、違うと思います。異文化の理解はなかなか難しいです。
投稿: べっちゃん | 2010年5月16日 (日) 08時14分
はじめまして。原爆マリアさまの記事勉強になりました。アメリカはプロテスタント国家でマリア信仰のような偶像崇拝はしないと思うのでヒスパニックなどのカソリック以外の人々にはあまり感慨がわかないと思います。核攻撃にも生き残った聖マリア像はキリスト教信仰の勝利の象徴として受容されることは理解できます。見方を変えると原爆投下したB29の飛行士達は全員プロテスタントですから、プロテスタントの攻撃に耐え抜いた聖マリア像はカソリックの勝利の証しとして考えられるのではないでしょうか?。つまり原爆マリア像は中世欧州で繰り返された新旧両教徒の宗教戦争の延長とみなされる可能性があるということです。いずれにしても日本人の平均的感覚からは外れたものになるでしょう。原爆マリア像はアメリカならヒスパニック(カソリック)の多い地域にもっていくとよいでしょう。
投稿: ニホンマル | 2010年8月 9日 (月) 12時16分
ニホンマルさん、初めまして
格はキリスト教にとっても敵である、というメッセージのつもりで、日本の被爆者は原爆マリア像を紹介したのだと思いますが、おっしゃるように「キリスト教の勝利の印」として受け取る人が多そうに思います。
プロテスタントに対するカソリックの勝利の証しという視点は気がつきませんでした。おっしゃるように、カソリックが多い地域に持っていくと違った意味での欧米へのプレッシャーになるかもしれません。
でも寝た子を起こすようなことはしない方が良いかもしれませんが。
投稿: べっちゃん | 2010年8月 9日 (月) 21時43分