アニメに込められた政治的メッセージ(四)・・・ふしぎ星の☆ふたご姫と女系天皇
陰暦 四月六日
四つめは「ふしぎ星の☆ふたご姫」です。これは平成十七年(2005)から十九年(2007)にかけてテレビ東京系列で放映された作品です。ふしぎ星と いう架空の星の双子のお姫様が他の国のお姫様や王子様と仲良くなりながら、星全体を襲う脅威に立ち向かうという内容でした。
この作品は当時五歳になっていた敬宮愛子内親王に見せることを意識して作った作品だろうと私は思っています。主人公がお姫様で、他の国の王室と交流して国々が親善を深める筋立てになっています。王族たちはいずれも一様に国民のことを深く思いやる模範的な人たちばかりです。
そもそも主人公の国がその名もズバリ「おひさまの国」でして、この作品が敬宮に皇族の在り方や親善外交の大切さを訴える作品であることが想像できます。同時に近い将来内親王・女王で占められる皇室を盛り立てることを国民に訴える内容になっています。あるいはもっと踏み込んで女系天皇への賛成を呼びかける作品であったのかもしれません。
一年目の脅威は「おひさまのめぐみ」の弱体化でした。環境破壊や経済の停滞による国民の意気消沈を表しているのでしょう。また国民の人気を得た王子様が独裁者として振るまい自滅していく話もあり、これも救世主願望が強まっている日本の政治状況(今も続いている)に警告を発していると言えます。
しかしご存知の通りこの作品の放映中に秋篠宮家におめでたがあり、それによってこの作品は微妙に漂流を始めます。一年目の後半からメディア戦略が急激に下火になり、出版社や玩具会社がスポンサーから降りてしまいます。テレビCMも玩具のポスターも全然出なくなり、アニメ雑誌にも取り上げられなくなりました。玩具の売れ行きが悪い作品はそうなる運命なのですが、売れ残りを捌くための努力がなされた形跡が全くなく、潮が引くように大手スポンサーが逃げていったのは不可解でした。この作品に込められたメッセージが政治的に微妙であることをスポンサーは危惧したのでしょう。
二年目は学園生活がテーマで、これもまた小学校入学を控えた敬宮様に見てもらうことを意識していたと思うのですが、やや敵の姿が見えにくい話だったため人気はあまり広がらず、秋に三年目継続を訴えるようなCDも発売されたのですが、悠仁親王が生まれたこともあり二年でこの作品は終わりました。
青年向けのマンガやアニメに特定の国や政治勢力を揶揄したり敵視したりするようなメッセージが込められているのは良くあることで、しかも青年向けは表現がどぎついのでわかりやすく、広く深く視聴者の深層心理に政治的メッセージを浸透させる力は返って小さいと私は考えています。
心配なのは子供向け作品の方でして、アニメもマンガも子供向けの方が優秀な人材がそろっていて、メッセージは巧妙にかつ、受け入れやすい形で込められてしまうことが少なくありません。
紹介した他にも、「ドラえもん」「クレヨンしんちゃん」「ポケットモンスター」の映画版には政治的メッセージが込められているとおぼしき作品が見受けられます。プロデューサー、原案作者、スポンサー等々いろいろな方面を通して政治的働きかけはあるのでしょう。原案が確信犯的にメッセージを込めている場合もあるでしょう。また直接政府が公報CM提供を通して番組に介入することもあるのだと思います。
一概に悪いとは言えないのですが、知らず知らずのうちに様々な政治的メッセージに子供たちは晒されているわけで、注意が必要な世の中になったのは確かだと思います。
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コメント
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テレビ東京系列のアニメは、保守的傾向のメッセージが隠れていることが多いのでしょうかね。
「ふしぎ星の☆ふたご姫」は、べっちゃんさんが前回、名作と言っていた作品ですね。
皇室に対する当時の情勢を考えると、女系天皇への誘導が伺えるのですね。
「NARUTO-ナルト- 疾風伝」は、組織社会=サラリーマンですし、「遊戯王」は交渉・外交を表していると見ています。子供の内から、感覚を醸成させていることになります。
ガンダム00やコードギアス 反逆のルルーシュ、鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST、戦国BASARA、については、極めて現在の政治的・社会的メッセージが強くて、政権交代の正当化、民主党政治手法の肯定が刷り込まれています。
ガンダム00は、ネオリベ=リベサヨといって思想の矛盾そのものの正当化と受容の強制です。
アニオタの方に、ルルーシュ=小沢一郎といったら、殴られそうですが、彼の役割はそうだと思います。だから、以前から判っていた問題がこのタイミングででるのでしょう。
鋼の錬金術師は、友愛政治です。
ダイバーシティ=多文化共生は儲かる。この大前提は「つまり、なぜアメリカ企業がこうした人権的な社会問題にここまで積極的になるかというと、ダイバーシティは儲かるのです。」。ホムンクルスは日本の知識階級(学者・院生等)を表しています。彼らによって主導する社会の再構築です。
投稿: 保守系左派 | 2010年5月21日 (金) 06時42分
テレビ東京は設立の経緯が公営放送に近いですからね。民放のアニメは左翼系のメッセージが強いですよね。だからそもそも私は見る気が起きません。
作品に社会風刺が入り込むことは珍しくないことだと思うんですよ。かつてのハウス(カルピス)名作劇場なんかは社会風刺のオンパレードでした。
ただ、これまでは厳しい現実の告発とか、作品へのスパイスとして、現実社会への風刺が込められていたと思うのですが、最近は特定の政治勢力を持ち上げたり貶めたりすること自体が作品のテーマになっていることが少なくないのです。
そんな政治ごっこよりも魅力的なキャラクターの生き様を見せて欲しいです。その過程でたまに政治風刺が出てくるのはいいと思うのですけれどね。
こうも政治的メッセージが鼻につくのは端的に言ってアニメを作る人たちの技量が落ちているからだと思います。政治を描くのは楽なんです。客も集めやすいんです。それに対して人間を描くのは難しい。
政治を描けば大人は喜ぶのですが、子供はそういうお約束がわかりませんので子供のファンを減らします。アニメが衰退しつつあるのは、アニメの制作者たちが自分たちの社会的影響力の使い道を勘違いしたことも大きな理由でしょう。
投稿: べっちゃん | 2010年5月21日 (金) 07時34分
麻生前総理の国立メディアセンターに反対してたのも、政治利用や思想の刷り込みが出来なくなることに対する反対が主たる要因であって、アニメ産業や関係者達の地位向上など二の次でしかありませんでした。思想信条の自由は大切ですからこそ、アニメ産業と関係者達、子供とファンの社会地位の向上が一番で無ければなりませんでしたから、とても残念なことでありました。
映画「アバター」もそういう意味で、あからさま過ぎて見る気にもなれません。
たしかに、政治思想等が入るのは仕方の無いことかもしれませんが、アニメの可能性を奪われたことに何とも言えないものがこみ上げてしまいます。
投稿: 保守系左派 | 2010年5月21日 (金) 21時00分
でもまあ日本政府は貧乏神ですからね(^^;
日本政府が振興に乗り出した産業は落ち目になります。ていうか政治家や官僚は上り調子の産業には口を出さない(出せない)んですよね、用がないから。落ち目になってくると政治家や官僚が口出しをする余地が出てくるのです。
アニメ振興策なんてものが政治家の口から出てくるようになったことこそアニメが峠を過ぎてしまった印だろうと私は思っています。
そのうち宮崎駿御大や富野由悠紀の御大が文化勲章をもらうでしょう。これは日本のアニメが発展を止めて伝統芸能の仲間入りをした証拠です。墓標です。
私は日本のアニメは「ふしぎ星の☆ふたご姫」が終わった時に死んだと思っています。
投稿: べっちゃん | 2010年5月22日 (土) 00時04分
おはようございます。べっちゃんさん。
最近は、べっちゃんさんアニメの話が少なくなったのもそういう影響もあるんですね。
>アニメ振興策なんてものが政治家の口から出てくるようになったことこそアニメが峠を過ぎてしまった印だろうと私は思っています。
これについては別の方からも同様の指摘をうけました。日本国内産業として成立し得ない経営的・経済的要因によるものなのだ。でした。
日本社会の政治への諧謔や社会風刺、落語等にみられる部分は基本的に市民レベルの知的成熟が高い現れでもあるのでしょう。
映画産業が衰退しているのも同様の政治的メッセージの強化が、視聴者に嫌われているものもあるのでしょうね。
鳩山首相の政策ブレーンには、平田オリザという演劇関連の方達が内閣参与して係わっています。演説の「いのち、いのち」の草稿をしたそうです。近衛内閣と同様に政治の演劇、映画、アニメ産業への関与を拡大する手法がチラついて気味悪いことこの上ありません。
投稿: 保守系左派 | 2010年5月23日 (日) 09時57分
現代劇はやたらと深刻ぶって怒った演技をすれば良い演技だと思っているから嫌ですね。楽しみにいっているのに叱られているみたいであんなのを有り難がる気持ちがしれません。あいつら絶対に自分たちの方が客よりも上等な人間だと思っています。
お客を喜ばせることに専念している田舎芝居の方が良いです。
北朝鮮や中共の日本浸透作戦の中には劇団を利用した作戦があります。劇団ってのはどんな人間でも入れますから、一部の劇団には政治活動の隠れ蓑だったり、政治家の隠し金庫になっている物もあると思います。
今の芸能人は芸能やっていませんからね。無芸大食ばかりです。客から木戸銭をもらわなくても食っていけるテレビやラジオというシステムは芸能をダメにしましたね。
投稿: べっちゃん | 2010年5月23日 (日) 12時38分