アニメに込められた政治的メッセージ(一)・・・ぴちぴちピッチとシーレーン
陰暦 四月三日
以前に保守系左派さんとの意見交換で最近のアニメの中にはどうも政治的メッセージが巧妙に潜り込んでいるのではないかというお話がでました。これは私も 数年前から気になっていたことでして、私が見た範囲でその可能性がある作品を政治的な観点から分析してみようと思いました。
まずは一番ハッキリしている作品から。平成十五年(2003)から平成十六年(2004)にかけてテレビ東京系(制作はテレビ愛知)で放映された「ぴちぴちピッチ」です。この作品は「人魚姫」をモチーフにしたアニメで、七つの海にそれぞれ人魚のお姫様がいて人間界にいわば留学に来て人間の男の子との間に恋に落ちるという筋立てです。人魚姫ですので告白してしまうと泡になって消えてしまうため、想いを伝えるに伝えられず視聴者はやきもきさせられました。
ただ恋愛だけでは受けないのが最近の少女マンガでして、このアニメにも「敵」がでてきます。一年目では人間に敵意を懐く海底人と人魚姫の一人が人間界へ攻めてきて、続編の「ぴちぴちピッチ・ピュア」では境界性人格障害持ちの古代人類なる者が無差別的にテロを仕掛けてきます。
「ぴちぴちピッチ」に込められたメッセージはズバリ「国防意識の育成」です。まず人魚姫から見てきましょう。主人公は当然北太平洋のマーメイドです。そして主人公の親友が二人いるのですが、北大西洋のマーメイドと南大西洋のマーメイドです。この三人が日米安保条約とNATO(北大西洋条約機構)をイメージしているのは明白です。
残りの四人のマーメイドは敵の捕虜だったり別行動を取ったりしています。北極海のマーメイドは番組序盤で敵から攻撃を受けて囚われてしまいます。北極海のマーメイドの妹の南極海のマーメイドは上記三人とは別行動を取って協力してくれません(南極条約?)。インド洋のマーメイドは少女時代に人間と恋に落ちて失恋したことがトラウマとなって敵の協力者になっています。インド洋のマーメイドと親友の南太平洋のマーメイドはインド洋のマーメイドの奇襲攻撃を受けて敵に囚われてしまいます。
敵は水中を移動する宮殿に住んでいて、そこから水妖(水棲生物の妖怪)を繰り出してきます。これが潜水艦の脅威をイメージしていることは明白です。仮想敵国はソ連(ロシア)と中共です。インドがが敵でも味方でもない微妙な位置づけになっているのも良くできています。南太平洋が真っ先にやられるのは水爆実験をイメージしているのでしょう。
そもそも人魚姫の上に君臨する海の女神様の名前が「アクアレジーナ」(海の秩序)ですから、この作品が最初から米英日の海軍力によるシーレーンの防衛を謳う作品であることは明白なのです。この女神様、ちゃんとトライデント(三つ叉の槍、ギリシャ神話の海神ポセイドンの武器、米国の潜水艦発射大陸弾道ミサイルの名前に取られている)まで持っています(笑)
結局インド洋のマーメイドが決定的瞬間で海底人と共同行動を取らなかったために海底人は自滅してしまいます。すなわちインドの消極的中立によって世界の海の平和が守られたという筋立てになっています。この作品はシーレーンの防衛を隠されたテーマにしています。
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コメント
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こんばんは、べっちゃんさん。
先日のコメントはすみませんでした。
今回は、こちらの疑念に答えていただき重ねてありがとうございます。
今後のエントリーも期待させていただきます。
投稿: 保守系左派 | 2010年5月16日 (日) 22時33分
保守系左派さんこんばんは
微修正しましたので良かったらもう一度読んでください。
政治的意図とまでは言わないものの、当時の世相を反映した表現とか、あと日本語の資料としても一級品だと思いますしアニメも結構同時代の資料として役に立つんですよね。
投稿: べっちゃん | 2010年5月16日 (日) 23時11分