政局に強いお二人
陰暦 五月十八日
参議院選挙戦も中盤に入ってきて、政局に強いと定評のある二人の人物が動きを見せ始めました。どういう意図を持った行動なのか分析してみましょう。
自身の政治資金問題で逼塞状態にあった小沢が、反執行部で気勢を上げたというニュース。これまで、人気がある(と思われていた)菅氏を御輿に担ぎ上げることで選挙に勝利し、それにより訴追を逃れるという消極的な姿勢を通してきた彼が、にわかに積極的に動き始めました。
もともと反小沢色が強い菅氏の周辺による党運営に不満があったと思われます。菅氏が選挙に勝利すれば、小沢は訴追こそ逃れられるかもしれませんが、政治家としては失脚です。しかしここに来て政権が消費税でつまづいて参議院における過半数維持があやうくなってきました。そうなると小沢としては、むしろ選挙には負けてもらって早々に菅氏を追い落とし、次の代表戦で自分の息がかかった人物、もしくは自分自身が総理になろうと考えても不思議ではありません。
それに小沢氏には平成20年末に大連立を持ちかけて失敗したという前歴がありますが、民主党が今回の選挙で負けて自民党との大連立が避けられなくなれば、これがプラスの意味を持つようになります。あの時大連立に反対した現執行部が、今さら自民党と同じ政策を掲げ、選挙後の大連立まで示唆するとは何事かというのが彼の言い分でしょう。
もう一人はこの人
小泉さんが、大きな政府・福祉国家に反対なのは周知の通りです。彼は「歳出を削ればいずれ国民の方が音を上げて、増税してでも行政サービスを拡充してくれと頼む」という主旨のことを発言しています。平成18年の骨太の方針で社会保障費の自然増からの毎年2,600億円削減(医療・福祉関係者からかなり評判が悪かった政策)を決めたのも小泉さんです。
小泉さんの輸出産業優遇策は私個人にとっては非常に有りがたい政策で私もそれゆえに支持していたのですが、社会保障のひどい状況を知るにつけ(まだ若いのでお世話になることは少なかったので当時はよくわかりませんでした)、小泉さんの小さな政府は今の日本を不幸にすると思うようになりました。
さて、民主党が参議院選挙で過半数維持が困難になりつつあり、菅政権は自民党との連携を模索しています。すると、自民党と民主党に分かれて勢力を削がれていた福祉国家派の大同団結が実現します。これは、小さな政府、雇用の非正規化による人件費の削減、デフレと政府系金融機関の弱体化による民間金融の肥大化を狙う小泉さんを中心とする新自由経済主義派にとってはどうしても避けたい展開です。
そこで、大連立を潰すための予防線を今から張っているのでしょう。
小沢も小泉さんも、右から左までのごった煮政党の中で、足を引っ張り合うことで自分の主張を通してきた日本の党人政治家の典型のような動きを見せています。しかしこれこそが日本の政治をわかりづらくさせて来た元凶であり、今こそ主張によって政治家はつながり合うべきと私は思います。
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