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2010年7月28日 (水)

それじゃあ経済は拡大しないよね

陰暦 六月十七日

 The Economistを読んでいたら「日本は経済が縮小しているが、新しい産業の芽はある、例えば外食産業とかジェネリック医薬品とか・・・」という記事がありました。外食産業はともかくとしてジェネリック医薬品は経済の拡大につながりません。メディアが言うところの「成長産業」というのはこの手の物が多いです。

 なぜ経済の拡大につながらないかというと、ジェネリック医薬品ができたからといって、人間が飲む薬の量は増えないからです。高価な薬の替わりに安い薬が消費されるだけです。むしろ経済は縮小する可能性の方が高いです(ジェネリック医薬品の不朽によって患者の負担が減ることは望ましいことだと思います)。

 メディアが持ち上げる成長産業というのはただの代替え需要に過ぎない物が多いです。ipodの普及はウォークマンの衰退と引き替えです。電気自動車が普及すれば町の空気は更にきれいになるでしょうが、日本全体を走る自動車の数は変わらないでしょう。

 この手の新商品がどんどん出てきて世の中が便利になることはよいことなのでどんどんやればいいと思いますが、それと国家の経済が拡大することは別問題です。若年層の失業解消、社会保障費用の確保、国家債務の発散防止などはこの国全体の経済活動の拡大によって解消しなければなりませんが、ジェネリック医薬品や電気自動車では解消はできません。それにこの手の新商品は放って置いても消費者が買いますので、今さら国がお金を出さなくても大丈夫です。

 社会保障費用の確保も国家債務の発散防止も、現役世代の雇用が拡大して、彼等が社会保険費や税金を払うようになれば解消しますが、おそらく今のところ雇用を拡大できる可能性がある分野は介護・医療と土木しかないと思います。国はむしろこういった生産性が低い分野に金を使うべきでしょう(長期的視点で見れば生産性が低いとは言えないのですが・・・親介護の負担が減れば仕事がしやすくなるし、災害が減り道路で移動がしやすくなれば国全体として経済が振興される)。新自由主義者のように国に企業で言うところの生産性を持ち込む方がおかしいのです。

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経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

>新自由主義者のように国に企業で言うところの生産性を持ち込む方がおかしいのです。

 この当りは、NLPやコミュニケーション心理学、マネジメントシステムの「プロセスの明確化」の負のスパイラルの罠との親和性が高いように感じます。
 無自覚なまでに導入し、自らの首を絞めた民間企業の前例が生かされているとはとても思えません。それとも自殺者や精神的なダメージを社員が受けたことを利用して組織破壊行動=アナキズムに向かわせているとは考えたくも無いですね。
 
 ジェネリック医薬品とか、やたら市民の見方を自称する方達が持ち上げたりすることを考えると、日本経済を縮小させることに凄く熱心ですね。この方達は二言目には、日本の人口は減少するから。と言うんですよね。増やしましょう。生んで貰える環境を整備しようとは絶対言いません。


>要するに、日本に一番不足しているのは消費者なので、

 EUの年金、女性の社会進出推進に見られる政策は、消費者を作り国家が収入を保障する事が前提ですからね。日本のジェンダーは、そういう面は無視しますから。

 資本や労働力が不足している時代の経済学のままなんですよね。成長の余地は無限にあるけれど資本と労働力が足りないという経済学。だからいわゆる無駄減らしとか節約を無条件に肯定するのだと思います。

 しかし今の先進国にはそのような成長の余地がない。だから経済を削ったらそのまんま後には失業者が残されるばかりです。

 成長の余地がなくなった世界における経済学を速急に作り上げなければならないのだと思います。でもよく考えてみたら、人類はほとんどの期間をそのような世界で過ごしてきたはずなんですがね。

 あと経済学者やエコノミストはただ単に命題に過ぎない事柄を善であるかのようにして話を進める論法は止めて欲しいですね。

 べっちゃんさん。おはようございます。
 UPDATE3: 民主デフレ脱却議連がインフレ目標導入など提言、財務相「真摯に受けとめる」2010年 07月 30日

 [東京 30日 ロイター]
 (以下抜粋)
  インフレ目標は、政府が毎年、年末の予算編成にあわせて次年度の物価上昇率目標を決定・公表し、日銀に通達する。具体的な物価水準としては、消費税物価指数(CPI)で「プラス2%から3%の間」とし、日銀に対して目標の「上下1%以内に維持することを課す」とした。

 こうしたインフレ目標を「直ちに導入し、日銀が(目標を)達成できなかった場合に説明責任を課す」。

 達成手段については、日銀の自主性を維持しながらも、長期国債買い切りオペの増額や「場合によっては、株式、REIT(不動産投資信託)、中小企業を含む低格付けのCP・社債も対象にすべき」と指摘。金融機関の企業向けローン債権の購入も検討すべきとしている。 

 さらに、日銀のガバナンス向上のため、日銀法改正にも言及。「デフレ・円高不況の原因は日銀による金融失政」と位置づけ、金融政策の目標に「雇用の最大化(失業の最小化)」を加えることを盛り込んだ。

 デフレ傾向を強める現在の円高への対応については、為替市場介入ではなく、金融緩和の結果として適切な水準に収めるべきとの認識を示した。

 日本の新聞はこの部分に触れていないんですよ。ただ単にデフレ脱却に動いたとした。

 自分の目からは、
 「長期国債買い切りオペの増額や「場合によっては、株式、REIT(不動産投資信託)、中小企業を含む低格付けのCP・社債も対象にすべき」と指摘。金融機関の企業向けローン債権の購入も検討すべきとしている」
の「場合によっては」のほうに目が行きがちになるのは、「~等」とかと一所で役所の文章はこういうのが怖いんです。
 前にべっちゃんさんが日銀の性質が変わるのではないかというのがありましたが、需要不足解消の名で不良債権処理を優先したり、リーマンショックで塩漬け債権を全部日銀に買い取らせるということでしょうか?

 勘ですけれども、木村剛氏が潰されたことと関連がありそうですね。日本政策投資銀行は露払いあるいは日銀の威力偵察だったのかも?

 デフレ脱却は大歓迎なのですが、民主党はどうしても日銀の買い取り物件の中に民間の債券を入れたい見たいですねえ・・・

 米国と支那の経済の雲行きが怪しいから早めに逃げたい株屋が多いんじゃないでしょうか?

 最近日本も含めて世界中のマスコミが二酸化炭素悪玉説を言わなくなったでしょう?この前NHKを見ていたら、北極振動のことまで言い始めたのでたまげました。二酸化炭素悪玉説は完全に敗北しました。これにより排出権取引市場はパーになりました。サブプライムローン同様に乗り遅れによってまたも日本は被害を免れました。そしてこれでいよいよ欧州の金融界は苦境に立つはずです。

 あと2007〜2009年に何回かあった不審な株の値動きに、民主党の誰かが関与していたんじゃないかと私は疑っています。空売りを大規模に仕掛けたんじゃなかろうかと。これによりおそらくその人物の口座や民主党の党資金には穴があいており、それを埋めるのに必死なのではなかろうかと思うのです。

 リフレ派(ネットリフレ派)は、デフレ脱却議連への過度の期待もあって、リフレが出来れはあとは目を瞑ることが出来るようです。
 制度設計については甚だ疑問と恐れがありますから、苦言を呈する方達が言っても耳に入らないようです。

 今後この辺りも含め、Baatarismさんのところで動きがあることを期待したいです。

 >民主党の党資金には穴があいており

 企業年金基金や労組のプロパー資金は確実にダメージを受けたと思います。民主党の金融資本主義との親和性の高さは、労働金庫系と労組の運用資金との関連もあるとは思いますね。農中の運用失敗の話はでましたが、労金系は殆どなかったのも不思議です。

 木村銀行もとい、日本政策投資銀行の中小企業向けといっても名ばかりで、むしろあまり公に出来ない様な融資案件の処理を中心にしていったように見受けられます。
 今回の日銀への不良債権買取スキームへの展望が開けたことも関係あるのかもしれませんね。
 排出権取引=環境金融工学が萎むのは良い事だとは思いますけど、日本は運が良いのか悪いのか、乗り遅れて事故を回避してますね。

 なるほど、私は政治家個人の財テクの失敗を想定していたのですが、労働組合や労金の運用失敗の可能性の方が高そうですね。

 公明党が自民党と切れなかった(切れない?)のは、90年代末の金融危機の際に創価学会系の信用金庫がお目こぼしを受けたからではないかと私は推測しているのですが、労組がこれほどまでに小沢や鳩山からコケにされているにもかかわらず民主党とも切れないのは、言われてみれば金の匂いがします。

 日本銀行がデフレ脱却目的で買い集めるのは国債だけにしておいた方が良いと私は思います。日銀の中に第二第三の木村氏を生み出さないために。どうしても株や社債を大量に買い集めたいのならば、麻生政権がやったように政府系の金融機関を使うべきでしょう。国会の監視がありますので、不幸な事態を防ぐことができます(まあ、その国会の監視がいやなのでしょうが)。

 日本国債の長期金利が1%未満ですか・・・世界のファンドの中で一番成功しているのは財政投融資で決定ですね(笑)いつまでたっても消えない日本財政破綻論は、内外の投資家がこの事実に気がついて欧米の国債や株が暴落することを防ぐための涙ぐましい努力なのだと思います。

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