二億五千万年後の地球?
この前国営放送が「二億五千万年後の地球」というスペシャル番組を放送していた。プレートテクトニクスと気象学を駆使して、大陸の配置が大幅に換わった二億五千万年後の地球の環境を予想するという興味深い番組であった。海外の番組を持ってきたらしい。
地球は球なので、分裂した大陸はそのまま進むと分裂した反対側で再び合体して超大陸ができる。前回超大陸パンゲアが分裂したのが二億年くらい前で、これが再び合体するのが二億年後くらい。海沿いは気候が温暖になり、内陸部は熱せられやすく冷えやすいのは生活体験からも理解できると思う。これが世界的規模になるので、二億五千万年後は気候が極端になる。大陸くらいの大きさがある台風が出現したり、深海大循環がなくなって生物がいなくなるかもしれないとか言っていた。
これはこれまで地球物理学者が人間活動による温暖化に対する懐疑説で繰り返し言ってきたことだった。地球の気候というのは非常に振れ幅が大きく、人間が何もしなくても数度下がったり上がったりするのは普通で、海水面は数百m変動することもあり(マントルプリュームによる海底の変形)、二酸化炭素なども巨大火山が噴火すればあっという間に人間活動数十年分の二酸化炭素が空気中に供給される。だから近年の異常気象の原因を人間のみに帰するのは間違っていると地球物理学者やその教育を受けた人たちは表明してきた。
二酸化炭素悪玉論の急先鋒だったはずの国営放送がこのようなことを言い出したのは、やはり二酸化炭素悪玉論がウソであることに気がついて、主張をひっくり返す下準備なのだろうと思う。案の定、二酸化炭素悪玉論を主張していたいくつかのブログで主張がぐらつき始めている。バカバカしいと思ったが、正しい方向なので、国営放送やそれらのブログについてあまり追及はしまい。
二酸化炭素悪玉論が力を失ったのは、支那やインドや南米の経済力が付いてきたのもあるだろう。異常気象が生じる時、日米欧は同じ現象が発生しやすい。緯度は同じくらいだし、偏西風の蛇行でも、同じ位置関係になりやすいのだ。寒波が発生する時も熱波が発生する時も日米欧は同時に被害を被りやすい。どうせみんな自分の周りのことしか気にしないので、世界中が同時に暑くなったり寒くなったりしていると早とちりする。
それに対して、支那やインドや南米はこれら先進国とは違った現象が起きやすい。日本が熱波に襲われる時は支那は冷夏や長雨に襲われる(現在進行中)、これは偏西風の蛇行で位置関係が逆になるからだ。インドは緯度が低いため気象を支配するのは偏西風ではなくて貿易風だし、南米は南半球(海洋の影響が大きい)なので、インドや南米は異常気象が発生するにしても先進国とはメカニズムが違ってくる。
そうすると支那やインドや南米の人たちが「日米欧の連中は地球が熱くなるっていっているけれど、俺たちのところは冷害で困っているぞ?」ということになり、地球全体が暑くなっている、という主張が揺らいでしまったのだろう。
そもそもこれら発展途上国の味方みたいな顔をしておきながら排出権で彼等の経済成長にたがを嵌めてしまうのは誠実ではないのだ。経済成長とは結局はどれだけエネルギーを消費する香だ。エネルギー効率を上げることは大事だと思うが、発展途上国に先進国並みのの高度なエネルギー技術を持ち込むと、コスト高になって結局彼等の競争力を下げるのだ。経済成長をするには、エネルギー効率なんか無視して、エネルギーを使いまくって全体の生活水準を底上げする時期が必要である(日本の行動経済成長期)。
いくら歴史問題とは、著作権問題とか、技術の流出などで支那の味方のような顔をされても、エネルギーのところで頭を押さえつけたら彼等は水面上には浮かび上がれない。二酸化炭素悪玉論を主張する人たちは発展途上国の味方ではない。ていうか明白に敵だと思う。
あまり追及はしないでおいて上げるので、国営放送におかれましてはさっさと二酸化炭素悪玉論を葬り去って欲しい。前言を翻して大きに付くのは日本のマスコミの十八番だろうから(笑)
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コメント
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>そもそもこれら発展途上国の味方みたいな顔をしておきながら排出権で彼等の経済成長にたがを嵌めてしまうのは誠実ではないのだ。経済成長とは結局はどれだけエネルギーを消費するかだ
~
二酸化炭素悪玉論を主張する人たちは発展途上国の味方ではない。ていうか明白に敵だと思う。
リベラル(左翼)というのものが、如何に欺瞞に満ちているかということでもあるんですけど、環境金融工学=排出権取引が、経済の流動性と社会階層の流動性を喪失させ、むしろ社会階級を固定化して、階級闘争に向き合うことになりがちの社会構造に向かうことは自明だと思うのです。
最近の「マルクス再び」「日本には適切な左翼が必要」と朝日新聞等の主張がありますが、現在のデフレ親和性が高くかつ経済を縮小し社会構造を固定化したがったのが、日本的左翼というものを彼らは反省する気はなさそうですね。
投稿: 保守系左派 | 2010年8月23日 (月) 20時51分
マルクスがそういっていたかどうかはともかくとして、日本の左翼は「経済は拡大しない方が良い」みたいな言説を好みますよね。松尾氏が嘆いていましたが(笑)
経済の規模が固定化した状態での競争はゼロサムになって格差を拡大化しやすく、経済が拡大する中での競争は名目上の格差は広がりますが、下層の人も底が上昇しますので生活が改善されます。
この日本の左翼の特殊性は、マルクスではなくて儒教、特に孟子の影響なのではないかと思います。孟子って超人思想と共産主義なんですよ。公平無私の超人(哲人)に政治を全て任せて、残りの人間は農業やればいい、食える分以外は税金として治めて満足しろと言うのが孟子の主張なんです。
投稿: べっちゃん | 2010年8月24日 (火) 00時12分
孟子は納得ですね。マルクスを無理やり当てて、自らの先進性を装い、公務員叩きに熱心なのもうなずけますし、東大のマル経済学と農業への共同体主義混入思考はその通りですね。
ネットリフレ派と称される、一部の方達の有り方が、賢人政治の残影が見え隠れし、時に選民思想かと驚く部分を感じます。
松尾先生は可哀想ですね。やたら少子高齢化社会を持ち出して、サステナビリティがまるで、縮小経済やデフレ状態で成しえるように誘導しすぎたんですよ。
投稿: 保守系左派 | 2010年8月24日 (火) 07時49分
彼等にとって孟子の理想は何よりも易姓革命を肯定している点にあるのだと思います。ギリシャの思想家にもあれほどハッキリと政府転覆を擁護した人はいません。キリストも過激でしたが、結果としての帝国の滅亡は予見していても、積極的に倒せと言ったことはありません。
孟子は金利も産業振興も外交も排除しています。それどころか後天的教育にも否定的です。全ての責任を君主一人の人格にかぶせています。裏返すと、人格者であれば何をやっても良いと言うことになります。
孟子は理想的な人員配置が実現したら、その職業を子々孫々守り続けるべきと言っていまして、階級の固定を肯定しているのです。
東洋の反体制家にみられる階級の固定と革命と共産主義のミックスの元は孟子にあると私は考えています。彼等は階級の固定を肯定する点で西洋のマルクス主義者と異なるんですよね。西洋は超階級として「共産党員」を作りますが、それ以外の下々の者の職業は個人の力量で配分するべきと考えていて、世襲は想定していないわけで。
近衛文麿、毛沢東、日本赤軍、ポル・ポトはその後継者です。怒る人がいるかもしれませんけれど、これに吉田松陰も加えられると思います。
投稿: べっちゃん | 2010年8月24日 (火) 08時28分
>近衛文麿、毛沢東、日本赤軍、ポル・ポトはその後継者です。怒る人がいるかもしれませんけれど、これに吉田松陰も加えられると思います。
日本的左翼の不思議は、世襲を批判しているけど、現在もっとも世襲の恩恵を受けて、社会的に良い地位を得ていることでしょうね。彼らは貧しくはありません。
吉田松陰については、考えてみたのですけど、浮かばないのです。
投稿: 保守系左派 | 2010年8月26日 (木) 06時46分
いや世界的に見ても左翼の活動家は金銭的に恵まれている階層の出身者が多かったと思います。
吉田松陰は欺瞞は全くない人ですが、明治以降の日本に孟子的な原理主義的嗜好を植え付けた元凶として挙げました。
あと岡本公三は尊敬する人間として吉田松陰を挙げています。動機が正しければ何をやっても構わないという考えを日本に持ち込んだのは吉田松陰です。吉田松陰があそこまで割り切って行動できたのは孟子のおかげです。日本の神話のどこを読んでもあのような原理主義は出てきません。日本の神様ってオリンポスの神様と一緒で結構小ずるい行動が多いですからね(笑)
だから国学ってのは神道じゃなくて根っこは儒教、特に孟子を重視した朱子の学問にあるんですよ。詳しくは山本七平さんの本や私の尊王思想の研究をご覧下さい。http://kintaro2-2001.hp.infoseek.co.jp/abe.htm
投稿: べっちゃん | 2010年8月26日 (木) 20時08分