藤子アニメのヒロインたち(三)・・・パパ
十月十四日
藤子アニメの中で一番はっきりカップルが出来上がっているのは「エスパー魔美」の佐倉魔美ちゃんと高幡和夫君という意見には異論は上がらないと思いま す。この物語はエスパーとして成長する魔美ちゃんとそれをサポートする高畑君の間の純粋な交流が主題といっても間違いではないでしょう。
魔美ちゃんは中学二年生でF先生の作品の主人公の中では年上の部類に入ります。けれども魔美ちゃんは精神的にはかなり幼くて、こと男女関係についてはパー子ちゃんはもとよりチンプイのエリちゃんよりも遅れているかもしれません。絵のモデルになるくらいの美少女できれいな肢体をしているのだけれど、恋愛についてはまるっきり自覚がない、というのが魔美ちゃんです。
エスパー魔美に出てくる悪者には詐欺師や異常性格者が多くて、この人間の暗部と魔美のピュアさが鮮やかな好対照をなしているのがこの作品の特徴といえます。魔美の父親は高校の美術教師をしている売れない画家で、魔美ちゃんのヌードを題材にして絵を描いているので、魔美ちゃんの一糸まとわぬヌードシーンが作品の随所に登場します。ヌードシーンは魔美の純粋さと父と娘の間にある信頼感を表しているのだと思います。性的な自覚があるとここに曇りが生じるので、魔美は幼児のように天真爛漫で恋愛の自覚がない子として描かれています。
魔美は大変なお父さん子なのですが、その魔美が心惹かれた高畑君はやはり魔美の父親と容姿も性格も似た男性です。ずんぐりむっくりであまりさえないとマミ自身が言っています。性格は優しくひたすら魔美を受け入れる包容力を持ったお父さんのような彼氏です。けれども高畑君はひたすら受け入れるばかりではなく、関わった人に没入して自分までも犠牲にしてしまいがちな魔美に一歩引いた場所から冷静なアドバイスを与えて、社会的に受けいられる形で問題の解決を図ろうとする理知的な面を持っています。
これもまた家庭に秩序をもたらし、子供に社会との関わり方を教える父親の理想的な姿であるわけです。
パー子とミツ夫君のフィフティ・フィフティな友達みたいな恋愛関係、リームとぼんのあねさん女房に続く三つ目の恋愛形態、包容力のあるお父さんのような彼氏が魔美ちゃんと高畑君で描かれているのです。
このようにF先生は少女の心理についてもしっかりと描いていて驚かされます。それもパーマン、T・Pぼん、エスパー魔美、チンプイというように後の方になるほど少女が活躍するという度合いが強くなっているように思います。チンプイはなんといっても結婚がテーマですからね。F先生のお子さんは娘三人だっと思いますので、子育てをするうちに少年だけではなく少女にも喜んでもらえる作品を作ろうという気持ちが強くなったのかもしれません。
最後はチンプイの紹介をします。チンプイはF先生の最後の連載作品です。最後の作品は女の子が主役で、しかも結婚がテーマだったことになります。そこからも分かるように女性を描くことが後期のF先生の隠れたテーマだったのではなかろうかと私は思うのです。
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