目指せ1ドル10円
※追記あり
輸出型製造業で働いていますので、これまでずっと円安の方が日本にとってよいことだと思っていたのですが、最近少しかわってきました。今でも円安の方が働いている会社の業績も上がって給料も上がるので、個人的には円安の方が都合が良いことには変わりがないのですが、日本全体の長期的な発展のためには円高の方が良いかもしれないという気がしてきました。
まだはっきりと理論化はできていなくて、統計を見て漠然と感じていることなのですが、戦後の日本の経済成長というのはかなりすごくて、今の支那もものすごい成長をしているように見えますが、それでも今の成長が続いたとしても日本が到達した所得の水準には到達できないのです。
韓国や台湾の成長もすごくて、台湾は購買力平価上では日本よりも豊かになったらしいのですが、それでも受けられるサービス、入手できる商品で判断すれば日本の方がずっと豊かです。韓国は格差がひどいですし、豊かになっているのは一部の企業だけで、一般国民はむしろ十年前よりも貧しくなっているくらいです。
日本とそれ以外のアジア諸国の間にどうして差がついたかというと、日本は高度経済成長期が終了した後の所得の上昇が大きかったのですね。これはどうして実現できたかというと円高のおかげなのです。円高で海外からの種々の商品を安く入手できるようになったおかげでもう一段上のレベルに上ることができたのだと思います。それと円高によって国際的に資産の価値が上がったのも大きかったと思います。
だからいっそ1ドル50円以下になった方が、相対的に日本人が豊かになり、消費が促進されるように思うのです。もちろん製造業は今の形では生き残れないかもしれませんが、そこまで円高が進めば、素材も部品も設備も技術もかなり安く入手できますのでまた違った形で価値あるものが生み出せるでしょう。
あんま合理的じゃないかもしれませんが、私の勘では1ドル10円になっても、日本の製造業の産出額は最終的に変わらないだろうと思うのです。もちろんいろいろな変革は起きると思いますが。
まずは今後10年間で1ドル50円を目指すべきだと思います。そうなれば1人あたりのGDPが米国を超えて世界で最も豊かな国になりますので、地平が変わるはずです。20年で25円、30年後には1ドル10円くらいを目指し、それでも動く社会を作れば日本人は世界で最も豊かな国民になることができます。
人口減少社会の中で、規模の拡大によって豊かになることは現実的ではありません。むしろ積極的に通過高を目指すことにより、この閉塞感が打破できるのではないでしょうか(個人的には大変なんだけれど)。
これは日銀や民主党への皮肉ではなくて本気です。
追記 70年代から2010年まで40年かけて360円から80円まで円高が進んだのですから、今後30年間で20円くらいまで進んでもおかしくはないです。それにドルが4分の1になっても日本の製造業は死ななかったどころか、今でもかなりの貿易黒字を稼いでいるのですから、20円になっても十分生き残れると私は思っています。
それと、できないことを望むよりもできることを望んだ方が早いというのもあります。世界の通貨当局を敵に回して円安を目指すことは難しいけれど、世界中が通過安にしようとしているときに通過高を目指すことは簡単です。ならば自分で作り出すことができる環境を設定して、それに適応するように世の中を変えていく方が、本当に実現するかどうかわからないリフレ(多分金融緩和だけでは無理なことがFRBの失敗で明らかになった、財政政策は難しい)に期待するよりもよほど現実味があります。
また、現象論的ですが、米国、英国、韓国、支那、現在のユーロ圏と通過安を目指した国の中では必ず格差が広がります。それに対して日本、ドイツ、アジア通貨危機がくるまでの韓国、ASEAN、この前までのユーロ圏など通貨が高くなった国では格差が縮まります。通貨安の国ではおそらく外債の返済が負担となって金融に富が集中する社会構造にならざるを得ないのでしょう。それに対して通貨高の国では国民全体の富が上がるので、購買力が上昇し、富の偏在がおこりにくいのだと思います。
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