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2011年1月30日 (日)

マクロスF(上) ※ネタバレ注意

十二月二十七日

 去年の年末以来、アニメのマクロスシリーズにはまっていたのですが、過去作を一通り見終わり、「マクロスF(フロンティア)」のテレビ版と映画の第一作まで見ました。

 マクロスシリーズは、ラブコメ色が強いSF作品なのですが(ガンダムとかSTAR WARSはスペースオベラですが、マクロスはSFです)、マクロスFだけはハードSFといってよいほど、SFとしてよくできていたと思います。マクロスFをラブコメとして解説している文章は多いのですが、SFとして解説した文章は少ないので、一つ書いてみます。

 マクロスのテーマは異星の知性体との邂逅、ファーストコンタクトです。その知性体は必ず軍事力において人類を凌駕しており、人類は絶滅の危機に追いつめられるのですが、文化の力によって相互理解に達し、人類は危機を脱するというのが共通した組み立てです。

 第一作の「超時空要塞マクロス」では巨人が地球を侵略しにきます。次の「マクロスセブン」では、人類の精神エネルギーを食糧とする超能力生物が宇宙開拓団を狙います。今回の「マクロスF」では種が全体として行動する群体生物(ミツバチやアリみたいな物)のテリトリーに開拓団が侵入してしまい、種の保存をかけた戦いが繰り広げられます。

 ファーストコンタクトのパターンは
(1) 侵略型(人類が侵略をする)
(2) 被侵略型(人類が侵略される)
(3) 補食型(人類が食糧とされる)
 の三つに集約されると思うのですが、マクロスFで網羅されたことになります。

 マクロスFの敵バジュラは単体としては知性を持たず、彼らが腸内に飼っている細菌(ウイルス?)が超時空通信により連絡を取り合うことで、種族全体としての意志を持つ群体生物という設定でした。

 個体には明確な意志がなく、ひたすら人類を攻撃してくるだけで、そこが前作と違って異様であり、この作品を分かりにくくしています。

 作品内の説明ではミツバチやアリが紹介されていましたけれども、バジュラのモデルは免疫系です。免疫には情報中枢がありません。それぞれ専門の役割を持った免疫細胞が体内に侵入した最近やカビなどの異物を認識し、攻撃し、対抗手段を編み出し(抗体)、自ら遺伝子を組み換えて獲得した対抗手段を免疫系全体として保存する、といったサイクルで個体を守っています。

 免疫系は脳のような情報を処理し、記憶を保存する中枢を持ちませんが、免疫系全体として記憶を持ち、自分を守ろうとし、子孫を残していく(ただし本体の人間個人が死ぬと免疫系は一緒に死んでしまいますが)能力を持ち、系全体として自我を持った個体のように振る舞います。

 バジュラは個体には脳がありませんが、種族全体として敵への対抗手段を編み出して、新しい個体に反映させています。本星を中心とした星域全体に広がって、侵入者に次々と群がって攻撃します。これはちょうど免疫系の行動と同じです。

 つまりバジュラにとってはフロンティア船団やギャラクシー船団は、体の中に入り込んだ異物で、必死になってそれを駆除しようとしているだけなのです。

 しかし体内に同じ細菌を抱えたランカだけは味方と認識し、彼女の歌を通し、お互いに害はないことを確かめ合い、バジュラと人類は共生の道を歩みます。ランカの腸内細菌を使ってワクチンを作って、みんなその腸内細菌を持つようになれば、相互理解は進み、バジュラは人類を守ってくれる外部免疫系として働くようになるのでしょう。人類の宇宙進出が進めばバジュラもそれについていって繁殖が進むというわけで一石二鳥です。ここらへんは「利己的な遺伝子」の影響も見られます。

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