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2011年1月28日 (金)

空騒ぎ指数(徒労指数)

十二月二十五日

 ここまでの考察を踏まえて、私は新しいGDPを提案しようと思います。従来のGDPは生産を最重点においた「アリGDP」とし、従来のGDPにこれまで考えた富の国内への流入/流出を加えたGDPを「キリギリスGDP」と名付けます。

 アリGDPはたくさん生産し、たくさん売り、たくさん金を貯めると拡大します。キリギリスGDPはたくさん消費し、たくさん買い、たくさん金を借りると拡大します。

 どちらに偏ってもよくないだろうということで、キリギリスGDPとアリGDPの差額をアリGDPで除した数を「空騒ぎ指数(徒労指数)」と定義します。働きもせずに消費に酔いしれると空騒ぎ指数はプラスとなり、働いて他人にばかり貢いでいると空騒ぎ指数はマイナスとなります(この状態を徒労状態と呼びます)。

 では実際に1980年以降の日本の両GDPの有様を見てみましょう。

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 日本は1991年のバブル崩壊までは一貫して空騒ぎ指数はプラスでした。1985年から1990年まで、空騒ぎ指数は上昇しており、これはバブルを表現していると言えるでしょう。

 バブル崩壊以降は基本的に空騒ぎ指数はマイナスです。この指数の優れたところは、輸入国の身の丈を超えた消費による輸出バブルの崩壊が予見できる点にあります。1997年にはアジア通貨危機に先行して空騒ぎ指数は下落しており、日本経済は徒労状態に陥っていたことが分かります。

 2005〜2007年もアリGDPはプラス成長でしたが、空騒ぎ指数は下落しています。欧米の消費ブームが身の丈に合わない物であったため、貿易黒字の売掛金が積み上がっていたからです。すなわち2005〜2007年の経済成長は徒労であったことが分かります。

 2002年の空騒ぎ指数の下落は凄まじく、竹中ショックが深刻だったことも分かります。2003年は一転してバブル期並みの空騒ぎ指数を記録しており、溝口介入の効果が劇的であったことが分かりますが、2005年以降の日本経済は徒労状態に陥ったわけですので、為替介入による通貨安による輸出バブルは長続きしないことも分かります。

 2008年以降、空騒ぎ指数は0に近づいており、麻生政権の経済対策と菅政権の金融緩和が適切な施策であったことが分かります。

 このように、現在日本経済はようやく徒労状態から脱しつつあります。1996年と2001年以来のデフレから脱する好機です。1996年のときにはアジア通貨危機と、拙速な財政再建策によって経済復興の芽は摘み取られ、2001年のときには小泉・竹中政権が緊縮財政を敷き、日本銀行がゼロ金利解除を強行したことにより、経済再建の芽は摘み取られました。

 今度は前回のような失敗をしてはなりません。金融緩和、財政政策による内需の拡大、相手の購買力を考えた穏当な輸出拡大が求められています。

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コメント

日本は貿易黒字が膨大だと聞くのに、何で豊かさが感じられないんだろうと
不思議に思ってたんですが、ようやく合点がいきました。
ツケで飲ませ食わせしてるような状態だったのですね。そりゃ苦しくなるわ。
と同時に日下公人さんが「債権国は軍事大国になる」というのも理解できました。
ヤクザが取り立てにいかないとツケは払ってもらえませんからね。

売掛金を貯めた上に、さらに黒字以上の額を海外に投資したりしていますからね、貿易黒字国とおだてられて、ツケを取り返すのを忘れたのがこの二十年間の大混乱の元だと思います。

これからは大中国様が有り余るな資金力で世界を潤してくれることでしょうから、私たち日本人はまず売った物の代金をいただくという基本的な場所に立ち戻ってやり直すべきでしょうね。

海外に貯めた資産から今後数十年にわたって利子が上がってくるなんてことは想像しない方が良いでしょう。踏み倒されるか円高で無意味になると考えておいた方がよいと思います。

ですので日本は国際情勢が安定している今のうちに早めに海外の資産を国内に持ち帰るか、世界が乱世になっても海外から有無もいわさず上がりを取り返す軍事力を持つか、どちらかを選択するべきときにあると私は思います。

日本は貿易黒字国なのでただでさえ国富が海外に流れやすい状況にあるわけですので、米国や英国のような貿易赤字国以上に中央銀行が流動性を増してやって普通になれるのです。

それを貿易赤字ですぐにインフレになる米英の中央銀行を参考にして、国内の資金量を調整しようとすればデフレになって当然だと思います。

今の支那はさすがに流動性を供給し過ぎだと思いますが、本来貿易黒字国というのは現在の支那や1980年までの日本のように、じゃぶじゃぶ資金を供給してやっとで、これを貿易赤字国と同じような金融政策にすればすぐにデフレに落ち込んで当然なわけです。

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