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2011年2月 3日 (木)

資本収支が赤字になった理由

正月一日 【節分】

 1980年頃までの日本は、経常収支も黒字で資本収支も黒字でした。これは物を売ったらすぐにその代金が入ってくるというごく健全な状態です。それが1980年以降は経常収支は黒字で、資本収支は赤字になりました。その原因を考えてみました。

 おそらくこれは、円高や生活水準の向上により、日本で工業製品を完成させることが難しくなり、組み立て工程を韓国や台湾などの新興国へ移転させたからでしょう。工場を造るために投資をしなければならないので資本収支は持ち出し(赤字)になります。

 さらに、日本は部品を新興国へ売って、新興国が完成品を作って輸出することになるので、代金はまず新興国の懐に入り、そのあとで日本に入ることになります。これにより貿易の決済に時間がかかるようになる。

 さらにできたばかりの新興国の工場(もしくは子会社)は経営力が弱いので、なかなかすぐには代金を回収できるようにはなりません。どうしても日本が部品を売った代金の回収は遅れがちになります。

 最後に、このように企業が国際化してくると、企業にとっては、別に代金を日本に持ち帰らなくても、売り先の米国に留めておいても、組み立て工場がある韓国に留めておいても、どちらでも変わらないことになります。なおかつ円高なので、代金を日本に持ち帰った時点で目減りしてしまいます。そのため企業には代金を日本へ持ち帰ろうという意欲がますます減ります。

 このようにして工場の海外移転により、投資が増え、代金回収が滞ったのが資本収支が赤字に転じた理由だと思います。1980年以降工場の移転はどんどん進みましたのでこの傾向は強まりこそすれ、弱まりませんでした。

 よくは分かりませんが、日本の企業は帳簿上はお金がいっぱいあるけれど、それは輸出先とか海外の子会社の口座に滞留していて、手持ちの円は意外と少ないという状態なのかもしれません。

 日本の労働者の賃金がこの二十年間減少を続けたのは、海外との競争もさることながら、手持ちの現金が少ないため、給与を出せなかったというのもあるかもしれません。

 日本や新興国の企業が貯めた売掛金は、欧米の金融商品に投資され、欧米で資産の含み益を生み出し、それによって彼らがまた消費をして、日本や新興国は彼らに商品を売るという流れがこの二十年間で来ていました。つまり日本人はいくら商品を売ってもその代金が手元まで返って来ない流れができていたのです。

 欧米がさして物を生産しているわけでもないのにGDPがやたらと高いのは、この投資による含み益(バブル)によって消費を回していたからです。しかしこれもこの前の世界金融危機によって無理になりました。日本が欧米に貸した金は実質的に返ってくることはないと思います。新興国にした投資は返ってくる余地はあると思いますが。

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