北アフリカ市民革命
一月十日
エジプトのムバラク大統領が退陣し、軍部に政権を委譲しました。チュニジアに続いての市民革命です。軍が後ろ盾になった革命ですので、左翼がイメージする市民革命とは多少違いますが、英国の名誉革命や明治維新やトルコのアタチュルク革命では軍事政権が樹立されましたので、これらの政変を市民革命の一種と考えれば、チュニジアとエジプトの政変も市民革命と行っていいと思います。
私はムバラク政権はそう簡単には倒れないだろうと思っていたのですが、北アフリカの人たちの意識の高さについて認識を改めなければと思いました。強権的政権を倒した民衆もさることながら、内乱を避けて自発的に身を引いた独裁者も見識が高いといえます。今のところ権力を濫用していない軍部も立派です。
チュニジアとエジプトの軍部の中にはおそらく軍事政権が近代化と民主化を前進的に進めたトルコのアタチュルクが模範としてあるのでしょう。
さて私が急に支那の経済発展が殆いといい始めたのは、経済活動の結果として排出される廃棄物(汚染物資だけでなく、在庫とか不良債権も)の処理がなされていないからです。廃棄物の処理をしない系は熱的に死にます。これは工業であっても金融であっても同じことです。
貨幣というのは人間活動の情報を数値化した物ですので、正しくエントロピーです。物の始末はいい加減だけれどお金の始末はできている、という状態はありません。物を始末できれば、その費用としてお金もきちんと始末されることになります。逆に物を始末していなければ、お金は始末できません。全体量の拡大で希釈されたように見えるだけです。
支那の大気汚染情報を見ると、大変な量の煤煙が大陸一体に滞留していることが分かりますが、これは自然の処理能力を超えた経済活動が行われていることを意味しています。人工的な処理機能はまだありません。物の廃棄物があふれているということは、資本の廃棄物である不良債権も必ずあふれているということです。奇形児が必要以上に生まれるということは、同様に奇形の工業製品や金融製品が生産されているということを意味します。
工業国というのはすぐにエントロピーが飽和してしまうので、国民の意識のばらつきをなくすことでエントロピーを押さえなければなりません。しかし工業がそのものが人間の活動を活発化させますのでこれは非常に難しい。独裁体制と工業化は両立しません。工業化によって豊かになった人間は国家に頼る必要がなくなるからです。大日本帝国の崩壊とナチスの崩壊も大局的にはこれが原因です。ハプスブルグ帝国でもおそらく工業化の進展と同時に環境汚染が進んでいたはずだと私は考えています。
北アフリカで政体が独裁制から、議院制と軍部独裁のハイブリッド(トルコやタイを想定してください)に移行しつつあるのは、このエントロピーの増大に対応するためです。崩壊を招かなかっただけ、チュニジアやエジプトの方がかつての日本やドイツよりも智慧が高いのです。これは工業化の進展度合いとはまた別の話です。
民衆の意識の統一を「経済発展(エントロピーの拡大)」でしかできていない支那は熱的に死ぬか、大日本帝国やナチス型の崩壊をするしかないと思います。そもそもエントロピーの拡大というのは自然の法則ですので、これは意識の統一とはいえません。めいめい好き勝手に動き回っているだけです。
なかなか経済学者やエコノミストには理解されないかもしれませんが、工業廃棄物を処理し、国民を教育してランダムな行動を減らしていくという迂遠な方法でしか、バブルや戦争は防げないのです。
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