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2011年2月24日 (木)

韓国で金融危機が発生しています

 日本の報道機関は全く報道していませんが、韓国で金融危機が発生しています。

韓国版サブプライム危機が激化(サーチナ)
健全な貯蓄銀行を取り締まった金融当局(朝鮮日報)

道民貯蓄銀行が営業停止の前に自主休業(中央日報)
金融委、ドイツ銀行員5人を告発(朝鮮日報)
不良債権:機関投資家が買収競争(朝鮮日報)

 ことの発端は韓国で消費者ローン、住宅ローン総額がふくれあがり、これに対して資源高でインフレ状態になったために金融当局は金融政策を引き締めましたことにあります。

 これに加えて、韓国の金融監督局は金融の正常化を図るために主要銀行に対して不良債権の整理を要求、債務比率の高い4つの銀行に営業停止命令を出しました(後に2行追加)。これによって国民の不安が一気に高まり、取り付け騒ぎとなりました。営業停止はさらに広がる見通しです。

 金融政策が引き締め状態になってただでさえ市中の資金量が不足しがちなところに、不良債権による経営不安が広がって、預金者が引き出しに殺到したため、銀行が支払い不能に陥ったのが現状です。典型的なバブル崩壊による金融パニックです。昭和恐慌やサブプライムローン崩壊の時と一緒です。

 以前に韓国企業の循環投資構造を紹介しましたが、つまり韓国は資本の蓄積が不足していて正味の資産が少ない状態です。企業がお互い資金を出し合って投資資金を融通しています。これは即ち企業の抱える負債が大きいということを意味します。

 通常は中央銀行が信用の振り出しをするはずなのですが、韓国は通貨危機で金融の主権が奪われてしまいましたので、中央銀行が通貨を必要最小限しか発行できなくなったのでしょう。通貨が足りないので、企業が大量に手形や社債を発行して通貨の代用をしている状態です。

 この構造は経済が拡大して手形が一方的に増えている間は問題にはなりませんが、経済が縮小し始めて企業が手形を現金化し始めるととたんに資金がショートしてしまいます。

 表向きは預金者の取り付け騒ぎという恰好をとっていますが、実際に起きていることは、
(1)インフレと景気の縮小によって企業が資金不足に
(2)企業(貸し方)が持っている手形の現金化を要求
(3)企業(借り方)が一斉に預金を引き出し
(4)銀行が資金不足に陥る
(5)銀行が債務超過に陥る
(6)金融健全化のために金融監督局が不良債権の整理を銀行に指令
(7)取り立てや貸し渋りが広がる
(8)景気がますます悪化
(9)金融パニックの発生←NOW!

でしょう。

 韓国は莫大な貿易黒字をあげていますが、その上がりは外国の株主に流れて、国内の所得は10年間停滞している状態です。

 そして韓国は自分よりも人件費が低い国とはFTAを結んでいませんので、国内の市場は韓国メーカーの独占状態です。

 韓国製品のコンセプトは「日本製品よりは二〜三割安いけれど性能は日本製と変わらない」ですので、所得が日本人の約3分の1である韓国人にとっては割高です。そのため韓国人は消費者ローンや住宅ローンによる消費を余儀なくされています。

 企業の資金不足によって、消費者ローンの拡大ができなくなりましたので、韓国人はサブプライムローンを借りていた米国人のように破産せざるを得ません。

 韓国金融当局は空売りによる資産価値下落や海外資金の逃亡に神経を尖らせており、これがドイツの銀行員の告発と言った事件に発展しています。

 似たような事態はブラジルでも発生しています。おそらく2009年後半からの世界経済の回復は、欧米の金融緩和によって市中にあふれた資金を、新興国の企業や消費者に貸し出して、彼らに身の丈に合わない消費をさせることで演出されていたのでしょう。サブプライムローンの国際版です。

 新興国に金を貸していた側が上がりの回収に動き始めたため、新興国で資金のショートが広がりつつあります。支那もあれだけ融資を拡大しているのに金融は逼迫状態です。今回の世界的な景気の回復は新興国の実態を反映した物ではなく、先進国の金融機関の貸し出しによって演出された物です。

 おそらく近いうちに新興国で金融パニックが広がるのではないでしょうか。

 中東や北アフリカで発生している混乱の裏にはこれがあるのではないでしょうか?

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経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

>おそらく2009年後半からの世界経済の回復は、欧米の金融緩和によって市中にあふれた資金を、新興国の企業や消費者に貸し出して、彼らに身の丈に合わない消費をさせることで演出されていたのでしょう。サブプライムローンの国際版です。

 現在の日本におけるデフレ問題解消のために、需要を生みださねばなりませんが、ベーシックインカム(BI)や給付付き税額控除に、賛同する方達が増えています。問題は、単純な所得格差の是正ては済まず、「身の丈に合わない消費をさせることの演出」が正しいのだろうか?という部分です。
 この部分は、日本型雇用(といっても、大企業と公務員)の年功序列賃金の廃止と、賃金の世代間の平準化とも密接に絡む問題だろうと考えます。
 ですから、単純に若年層や貧困層に給付しても現金で買い物では無く(ネット等)、キャッシュカードや電子マネーによる決済によるのでないかという危惧が有ります。
 その場合、消費者ローンの拡大により景気は回復するように見られますが、外需だのみの経済構造では、昔の鈴木商店が三井財閥によって潰されたような、コール市場からの突然の資金引き上げでも資金ショートが起きて倒産させられた手法ですかね。

労働の対価としての所得上昇でないと、結局はバブルにつながるということですよね。

だから金融緩和だけで景気回復をさせることに反対だという財務省や日銀のいい分も私は分かるんですよ。

支那のお金持ちが海外で狂ったように買い物をしていますが、あれは自分のお金ではなくて会社の経費でやっている消費なのだそうです。

会社の経費で落とすから、監査の及びにくい海外で狂ったように消費するんですね。

おそらく多かれ少なかれ彼らは国内でもやっているのでしょう。支那の富裕層の不動産投資も会社の経費でやっているのでしょう。

去年支那では銀行融資が7.5兆元増加しました。これに加えて信託投資という銀行のバランスシートにはない隠れ融資が6兆元あるそうです。

これは日本で言う株式への信託投資ではなく、個人が企業に金を出し、企業は銀行預金よりも高い利子を個人に払い続ける闇金融のような物です。

元本が保証されているのかどうかもよくわかりません。要は民間人が手形に手を出しているような物ですね。

GDP34兆元の国で新規融資が13兆円です。これで経済成長が9%、つまり3兆元ですので恐ろしく効率が悪い経済ですよ。

これはつまり支那は国からの融資と外国人からの借金によってGDPの3分の1がかさましされている状態ということです。

今年もこれ以上の融資が行われますので、2009年の分とプラスして、支那の企業や消費者が抱えるローンはGDPと同額になります。これに6%以上の利子支払いがつくわけですので、GDP成長のほとんどは利子支払いで消えることになります。

GDP成長が8%以上ないと国が滅びるという意味はこれなんですね。

賞味資産がない状態で、融資によってふくれあがった経済というのはどうしても資金不足に陥るのでしょうね。その行き着く先はハイパーインフレか恐慌なんでしょう。

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