唐変木たまには良いことを言う
一月十七日 【雨水】
貯蓄は投資に使われているので、高齢者が預金を取り崩せば、経済が回復するという池田信夫氏の主張は間違いだというのが概略です。池田信夫氏が唐変木で彼の主張が間違いだらけであることに異論はありませんが、日本の貯蓄が十分に活用されているという高校生からのマクロ・経済学入門の主張には異論があります。
確か日本は貯蓄から投資を差し引いた過剰貯蓄が数百兆円あったはずです。「貯蓄は経済成長に十分に寄与している」という主張は、貯蓄の大方が投資に回っている限りにおいて成り立ちます。日本のように国債買い入れにすら回らない貯蓄がふくれあがっている状態では貯蓄が経済を破壊していると言ってよく、この点に関しては「高齢者が貯蓄を取り崩せば経済が回復するはずだ」という池田氏の主張は間違ってはいません。
あと私が調べたり製造業で働いたりして得た感触では、日本の製造業は政府が「〜戦略」とかいって手伝ってくれなくても自助努力で勝手に世界と伍してやっていく力があると思います。政府やエコノミストが心配してくれなくても製造業の生産性は今後も上がり続けるでしょう。
けれども製造業の雇用吸収力は上がることはありません。いくら政府が日本の製造業に肩入れをしても製造業の雇用は今後も減ることはあっても増えることはありません。むしろこの分野では政府の関与を減らした方が産業が活性化すると思います。
日本の経済を活性化するためには消費を伸ばさなければならず、そのためには失業を減らし、働いている人の所得を増やさなければなりません。そのためには第三次産業の雇用を増やし、給与を上げるしかない。
おそらく政府が関与するべきは第三次産業の育成でしょう。そして、おそらくこの分野では政府が積極的に関与しないと、雇用は増えないし、所得も増えないと思います。第三次産業の活性化というのは、いわば人間の生存にとって不要不急の無駄な消費を伸ばすことを意味しますので、そういうことこそ政府の出番だと思うのです。
第三次産業を企業の論理に任せておくと、労働者の所得を減らす方向にしか進みません。何せ不要不急の産業ですから、いつでも首を切れるのです。でも今の日本では、政府の関与が不要な製造業で政府がしゃしゃり出て、政府の関与が不可欠な第三次産業で政府が放任主義に徹しています。やることが転倒しているのです。
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