復興国債償還を目的とした消費税率引き上げの得失(三)
四月十八日 【穀雨】
最後に、政治的にこの政策に実現可能性があるかと言うことを検証してみます。
この法律を通すには、衆議院と参議院を通すか、衆議院を通して参議院で否決されたあとに衆議院で3分の2以上の賛成で再可決しなければなりません。
自民党と公明党は福田・麻生両内閣の時に、消費税を社会保障の目的税とすると決めており、前回の総選挙のマニフェストにも明記しましたので、これに賛成することはできません。
それに分析が進めば、私が描いたような問題点にも気がつくはずですので自民党と公明党は、復興国債償還を目的とした消費税率引き上げには反対を貫くでしょう。
菅内閣が参議院でこの法律を可決する場合、民主党の議員数が106人ですので、あと15人足りません。
共産党と社民党は消費税増税には賛成できません。国民新党も反対だと宣言しています。残るはみんなの党(11人)と立ち上がれ日本・新党改革(5人)と無会派(5人)だけです。
新党改革の桝添代表は消費税引き上げを優先しそうですので賛成するかもしれませんが、立ち上がれ日本は与謝野氏との因縁がありますので、彼が主導していると考えられるこの強引な増税には賛成しません。みんなの党も今のところ減税を標榜しているので賛成しないと考えらます。しか違ってこの増税案は参議院を通りません。
じゃあ衆議院で再可決が可能かですが、衆議院では現在民主党は306人ですのであと14人必要です。自民党、公明党、共産党、社民党、国民新党を除くと残るのは12人となります。というわけで再可決もできません。
そもそも、この増税案は消費税を増税しないという民主党のミニフェストに反しますので、小沢・鳩山連合が賛成しないので、民主党は党議拘束がかけられなくなる可能性があります。ですから民主党は自民党を巻き込んで、議員立法の体裁をとろうとしているのでしょう。
さらに国民新党が閣議で賛成しない方針を表明しています。これもまた民主党がこの法案を議員提案にしようとしている理由です。
与党の中でまとまらない、閣議を通らない、参議院を通らない、衆議院の再可決ができない。この増税案を通すことははっきり言って不可能です。
野党を硬化させる手ばかりを出し続けて、なをこのような無理筋を打ち出す菅政権の神経を疑います。よっぽど打つ手がないか、正常な判断力を失っているかのどちらかでしょう。あるいは財務省が無理だとわかっていて菅内閣をつぶすために提案したかのかもしれません。
たぶん菅政権は、第一次補正予算を通したあとは、この無理筋の第2次補正予算案を出して、自民党と公明党と民主党非主流派に否決させ、「復興の邪魔をしたのは奴らだ」と言い放って政権を投げ出して責任を押しつけるつもりなのでしょう。今年解散総選挙をやるのは、さすがに被災地で暴動が起きるでしょうからやらないだろうと思います(菅総理は本当は、郵政解散の真似をして、この消費税増税を旗印に解散をしたいのでしょうが、そこまで常識がない人間だとは思いたくない)。
これはいわゆる囲碁で言うところの投げ場というやつです。
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