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2011年4月19日 (火)

復興国債償還を目的とした消費税率引き上げの得失(二)

 復興国債償還を目的とした消費税引き上げの問題点ですが、まずこの政策は経済的には最悪なのではないかと思います。

 償還を目的としていると言うことは、消費税増収分のお金が、日本経済から国債の所有者に流れるからです。フローからストックへの巨大な金の流れができることになりますので、これは景気の落ち込みを招き、デフレとなります。

 これは十三年前に橋本内閣がやった経済失政の再現です。村山内閣と第一次橋本内閣がやった震災復興事業のお陰で95年後半から経済は復調して好景気となりました。そのため、橋本内閣は震災復興で増えた国家債務の償還をするために、財政再建法を作り、消費税を引き上げたのですが、そのあとのことはご存じの通りで日本はデフレに陥り、未だその痛手から回復できていません。

 普通に考えると、震災復興事業によって国内に多く金が出回ったのだから、それを引き上げて元に戻すくらいでデフレに陥るのはずはない言うことになります。財務省もそう考えたのだろうと思います。

 けれども、震災復興事業によって増やされたお金は、震災によって消えてしまった富と釣り合っているはずですので、たとえお金の量が増えていても、震災の前とあとでは国内の富の量は変わっていないのだと思います。そこで増税をしてお金を回収すれば、資金の流通量が減少してデフレになって当然です。

 この増税によるデフレを防ぐためには、日本銀行が市中に増税を相殺するだけの資金を流せばよいのですが、このときには十中八九、復興需要によって好景気になっているはずですので、日本銀行は金融を緩和するようなことはしないでしょう。

 もう一つの問題点は社会保障の強化が遅れることです。

 増税は復興が軌道に乗ってからになりますので、少なくとも三年より先になるでしょう。2014年頃になります。そこから3〜5年間は消費税増税分は国債の償還に使われてしまい、社会保障には回ってきません。社会保障に消費税増税分が回ってくるのは早くても2017年になります。おそらく2020年にならないと社会保障の強化はできなくなります。10年後です。

 ただでさえ一年で一兆円社会保障費は増えるのです。10年後には社会保障に必要な金額は10兆円増えていますので、いくら削減の努力をしたところで、消費税引き上げによって得られる増収の7兆円は、社会保障の現状維持に消えてしまいます。しかも年金財源まで復興財源に回すとしていますので、社会保障が復興に食われてしまうことになります。これは問題です。

 10年間、社会保障は水準引き下げを余儀なくされるのです。これは認められないです。

 結局この消費税引き下げは全く橋本政権の経済失政と同じ経過をたどるでしょう。復興景気が消費税率引き上げによって冷や水を浴びせられて大不況になる、そのため消費税が不況の原因として悪者扱いされる、不況によって所得税と法人税が減るので消費税の増収は相殺されてしまう、経済対策としてさらに国債の増刷を余儀なくされる。社会保障の水準が引き下げられる。

 この政策は一見良さそうに見えますが、同じ失敗を二度繰り返す愚かな政策です。

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