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2011年5月15日 (日)

易経勝手読み(十三)・・・水山蹇

 これも一見して分かるように詩が本になっている卦です。

 本になっている詩は

往蹇来誉
往蹇来反
往蹇来連
往蹇来碩

 です。頭韻も足韻も踏んでいます。

 元々はこの四聯だけで、

王臣蹇蹇
非身之故

大蹇朋来

は易にまとめられるときに爻辞の数を6にそろえるために付け加えられたのでしょう。

 さて、もともとの詩の意味ですが、「蹇」の原義は「行ったり来たりする」「横道に折れながら進む」という意味なので、本質的には「なかなか前に進めない」という現在の易の解釈と同じといって良いと思います。ただ、これだとなんで水と山で蹇なのか意味がよく分かりません。

 「往」は卜辞に頻出する辞です。王の出発に際して、「往来、災い亡きか」という定型句になっているそうです。「往」のなりたちの理解には白川先生も苦戦しています。甲骨文字では「往」は足の下に王を象徴する斧鉞(まさかり)が描かれているそうです。甲骨文字や金文の「往」は、どうみても足で斧を踏んづけているようにしか見えず、「しかし王の象徴を足蹴にするはずがないので、何らかの神事だろう」と解釈に悩んでいます。

 私もかなり悩んだのですが、素直に絵を見たまま解釈して、「足の形をした王様」ということでよいと思います。

 「足の形をした王様?」なんのこっちゃとお思いでしょう。つまりこれは「かかし」なのです。

 「古事記の暗号」というアマチュア史家が古事記を易の観点から読み解いた本があります。このなかに少彦名=案山子=水山蹇と解釈する下りがあります。水の中で進めなくて困っているけれども、世界のことを何でも知っている案山子(=少彦名)とは水山蹇のことだろうというのです。蹇の字形からも案山子だろうと類推しています。

 私が推測するに、「往」は一本足の神様、案山子であり、蹇はなかなか前へ進めない状態。だから詩の中で「往蹇」とセットになっているのはごく自然だと言うことになります。おそらく水山蹇は「往蹇」の二文字熟語が元々の姿だと思います。案山子のように前に進めない状態という意味です。水山も「水の中に立っている祠、神像」という意味なのではないかと思います。

(39)水山蹇



(爻辞)
蹇なれども往かんか、誉来たらんか
蹇なれども往かんか、反来たらんか
蹇なれども往かんか、連来たらんか
蹇なれども往かんか、碩来たらんか

(和訳)
案山子のようにじっとしていたいなあ、
 誰かから褒められないかなあ
案山子のようにじっとしていたいなあ、
 それじゃあ裏切られてしまうだろうか
案山子のようにじっとしていたいなあ、
 それとも棚ぼたで利益が得られないかなあ
案山子のようにじっとしていたいなあ、
 だれか頭のいい人が来てどうすればいいか教えて

(解説)
 「往蹇」の読みには苦労しました。往は甲骨文字の時代から動詞で使うのが普通、そうすると蹇を目的語にしないといけませんが、そうすると意味が通らないのです。
 「反語だ!」と気がつくまで時間がかかりました。つまり「往蹇」とは、案山子のようにじっとしていたいけれど、その場合は何が起こるだろうか?ということを反問して雪隠詰めになって動けなくなっている状態のことを指しているのです。
 しかも「来反」以外は返句がかなり虫の良い言葉の羅列です。
 なんというか、これではニートですね(^^;

 「主株」の故事に近いかもしれません。

残りの爻辞の解説です。

(爻辞)王臣は蹇蹇(しずしず)
    身(みおも)のゆえに非ず
(和訳)宮廷に仕える大臣はすり足で歩く
    妊娠しているわけでもないのに
(解説)貴族の繁文縟礼をからかった言葉だと思います。

(卦辞)大蹇朋来
(和訳)ただものでわない案山子のばあいは友の方からやってくる
    (立派な人物にはじっとしていても助けがやってくる。)
(解説)これは後から儒者が付け加えた教訓か何かでしょう。

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