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2011年5月27日 (金)

日本神話の星座的解釈(十)

四月二十五日

 天孫系の神話は、元々は海部が星座をおぼえるために編んだ神話なのではないかという説をこの前提示しました。天照大神から神武天皇までは対応する星座が分かりました。須佐之男命は風雨の神なので星を隠します。だから常に天孫の神々と対立するのです。

 さて、天孫系の神でまだ残っている神様がいます。伊邪那岐命と伊邪那美命です。一から九まで一気に書き上げたときにはまだ星座が分からなかったのですが、ようやく分かりました。

 蠍座と射手座です。メジャーな星座で残るのはこの二つしかないのですが、伊邪那岐命と伊邪那美命だと同定するための根拠が見つかりませんでした。

 手がかりはアンタレスです。伊邪那美命は火の神軻遇突智(かぐづち)を生むときに死んでしまいます。アンタレスは世界中で火を象徴する星として扱われています。西洋では火星の対抗者ですし、支那では大火と呼ばれます。しかもアンタレスは変光星なので不吉な星として扱われることがあります。伊邪那美命の命を奪ったのはアンタレスでしょう。

 蠍座と射手座があるあたりは天の川が一番濃い場所です。これは原初の混沌とした世界を表しているのでしょう。伊邪那岐命と伊邪那美命は天浮橋(あめのうきはし)に立って世界をかき混ぜます。天の川を見たことがある人ならご存じでしょうが、この部分の天の川は二つに分かれています。暗い部分を雨の浮橋と表現したのでしょう。

 二人が世界をかき混ぜた天沼矛(あめのぬぼこ)は天の川に浸る蠍座の長い身体です。混沌とした天の川をかき回すのにぴったりです。

 蠍座が二人が最初に生んだ八つの島、南斗六星(射手座)が引き続いて生んだ六つの島ではないかと思います。

 ちなみに八つの島とは淡路島、四国、隠岐の島、筑紫島(九州)、壱岐島、対馬、佐渡島、本州であり、六つの島とは児島、小豆島、周防大島、姫島、五島列島、男女群島です。日本には島がいっぱいあるので、地方地方によってそれぞれ好きな島を星に当てはめたのだと思います。そう思ってみてみれば、星の海のまっただ中に蠍座と南斗六星の明るい星がずらっと飛び飛びに連なって、日本列島のように見えてきます。

 火の神を生むことで命を失った伊邪那美命は、日本からは見えない南の空へ消えていったのだと思います。日本の神話では死者の世界はこの世とは別世界のようなつながっているかのようなはっきりとしない世界なのですが、死者の世界が国産み神話でそのような表現になっている理由は、「見えないけれど南へ行けば見られる星空」のことを死者の世界と表現したからではなかろうかというのが私の仮説です。

 南の星空は、この世とはつながっていて、有るのは分かっているのだけれど、この世からは見ることができない世界という概念を比喩するのにぴったりです。古代人は必ず具体的な比喩で深遠な思想を表現します。

 蠍座と射手座は北半球で見られる最も南の星座なので、死者の世界に一番近い星座と言うことになります。しかも天にいる期間が短い。だから最初にちょっとだけ出てきて、国産みをしたらすぐに退場する伊邪那岐命と伊邪那美命としてふさわしいのです。

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