« ワイマール共和国末期じみてきた欧州:追記 | トップページ | 易経勝手読み(十七)・・・天雷无妄 »

2011年7月27日 (水)

易経勝手読み(十六)・・・天火同人

六月二十七日

 天火同人には都城を表す語が含まれています。同人を門においてする、同人を宗(祖霊を祀ったみたまや)においていする、同人を郊においてする、などです。おそらく同人とは、様々な人間が集まる都市において団結を強めるために行われる儀礼。あるいは都市を新しく建設する際の儀礼ではないかと考えられます。

 第三爻には戎を莽(くさむら)で伐つとあり、初爻、第二爻、第五爻、上爻と趣を異にしていますが、この戎というのは同人と対比される存在です。異民族です。第三爻と第四爻は、都市の結束を高めるため、都市を呪力で防御するために、異民族を生け贄に捧げる祭祀を表しているのでしょう。

 第五爻は火山旅の上爻とよく似ています。同人では先に呼び叫び後に笑うとあります。旅では先に笑い、後に呼び叫ぶとあります。旅は山焼きでした。山焼きでは後に焼き払われた山が残ります。都市の建設では、最初に荒野があり、後に整備された都市ができあがります。同人と旅が似た表現を含んでいるのは、この無秩序と秩序の時間関係を表しているのではないでしょうか。

 旅は山の神を追い出して焼き畑をして畑を作る行為であり、同人は元々その地にいた地霊を追い出して新しい都市を造る行為です。両方とも地霊に迷惑をかけるため、祟りを受ける可能性があります。山焼きは一時的な土地の占有なので祭祀は軽く家畜を捧げるだけであり、都市の建設は恒久的な土地の占有なので人間を生け贄に捧げて念入りに地霊を鎮めるのです。

 「字統」によると、「天」とは髷を結わないボサボサ髪の神に仕える人物を表すとあります。周公旦には、甥の成王を守るために、薪を組んでその上に乗って、自分を生け贄として焼こうとしたという伝説があります。周公がそのような行為に及んだのは、幼い成王を侮って周族のまとまりがなくなってきたので、その結束を固めようとしたからです。

 天火同人とは、新しい都市を造る際に、このように霊能力者を火にくべて、都市の呪力を高める祭祀を表すのではないかと考えられます。毎度毎度霊能力者を焼いたわけではないでしょう。通常は同(お酒を飲むためのジョッキ)でお酒をみんなで回し飲みする「一味神水」で結束を高めた故の「同人」なのだと思います。新都市の建設や、絶体絶命の籠城戦では、人間を生け贄に捧げたのでしょう。

同人の祭祀は(都市の構成員全員を集めて)城門でする
同人の祭祀は(高位の人間だけを集めて)廟堂でする
戎を莽で斬首し、生首を高く掲げる、
その後は三年の間、興の祭祀(酒を地に注ぐ)をしない
戎の死骸を塗り込めた城壁は呪力が強く
攻め落とすことができない
都市の建設は最初は苦しいが、後に安楽が待っている
大勢の力を合わせて行うべし
最後に同人の祭祀を都市の郊外で行う
(都市の周辺の土地の占有を宣言する)

« ワイマール共和国末期じみてきた欧州:追記 | トップページ | 易経勝手読み(十七)・・・天雷无妄 »

易経・春秋」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/173723/52325307

この記事へのトラックバック一覧です: 易経勝手読み(十六)・・・天火同人:

« ワイマール共和国末期じみてきた欧州:追記 | トップページ | 易経勝手読み(十七)・・・天雷无妄 »