七月二十一日
旅行中に宿ですることがないので、ぼけーっと熱力学と経済学の対応関係を考えていました。
一国の経済を熱機関と考えると、内需は熱機関がする仕事、輸出(および海外投資)は廃熱、輸入(および海外からの借金)は熱の吸収でしょうね。私は最初GDPを仕事と考えていたのですが、それだと輸出入がうまく当てはまらなくなるのです。
こういうとちょっと語弊がありますが、人間によって製造される物は廃棄物と同じなのです。役に立つ立たないは人間の価値観が決めますが、自然の立場に立ってみると、コンピュータも生ゴミも人間が作り出した廃棄物です。
供給力過剰は、一生懸命ゴミをため込んでいると同じ事で、外界に製品を排出しないとその国の経済は熱的に死んでしまいます。支那の場合は国内で熱機関を回しすぎて、廃熱(輸出)をしないと熱的に死ぬ状態にあります。
じゃあ日本はどうなのかというと、冷房を回して国内を冷やして、廃熱(輸出)を海外に輸出しているのと同じ事でしょう。物を作って売れば売るほど日本人が貧しくなるのは、熱力学的にいって、一生懸命クーラーを回しているのと同じだからです。
新興国というのは、先進国の廃熱で動く補助的な熱機関みたいな物でしょう。新興国というのは国内の所得水準が低く、これは熱機関の温度が低いことを意味しますので、自分で発熱しなくても、先進国からの廃熱だけで熱機関を作動することが可能なのです。国際収支が赤字なのに経済成長が続けられる新興国が不思議で成りませんでしたが、廃熱で動く熱機関と考えれれば理解できます。
そして廃熱で動くから熱効率は低いのですね。
債務というのは、熱機関内部に滞留する熱エネルギーです。債務過剰になった国は熱的に死ぬので、クーラーを回して熱を外に排出しなければなりません。しかしクーラーというのは熱機関としては効率が悪いので、熱を作り出すときよりも廃熱をする方がエネルギーも時間もかかります。これが現在の先進国の状況でしょう。
そして債務を返済するためには、海外に熱エネルギーを排出するしか方法がないのです。熱エネルギーは消えません。移動するだけです。これといっしょで、債務も消えない。移動するだけです。
熱を消そうとしてクーラーを動かすと、余計に熱が発生します。部屋の温度は下がりますが、室外機からは部屋の温度低下分を上回る熱が排出されます。これが債務返済のからくりです。
債務を返済しようとすると、それ以上の廃棄物(工業製品の輸出)か債務の付け替えによる総債務の拡大(政府債務の拡大)が生じます。
バブル崩壊以降の日本の経済政策と、現在の欧米の経済政策がうまくいかないのは、消えるはずのない熱を消滅させることができると間違ったことにあるのではないでしょうか。
債務は消えませんので、債務を問題でなくすには、国全体の経済規模を拡大して、債務のGDP(仕事量)に対する比率を減らすしかないでしょう。
しかし私が考えるに、日本というのは気温が低すぎて、いくら中央銀行が気体を排出してもすぐに凝固する状態なんだと思います。こういうときはどうするべきか、家の中でたき火をするべきなのです。やはり一見無駄に見える公共事業を大々的にするべきだと言うことになります。
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