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2011年8月 7日 (日)

易経勝手読み(二四)・・・火睪睽(火沢睽)その二

七月八日

 火睪睽の卦辞の解説にうつります。卦辞をみてみましょう。

初九。悔亡ぶ。馬を喪ふ逐ふ勿かれ自ら復らん(かへらん)。
   悪人を見るも咎无し。
九二。主に巷に遇ふ。咎无し。
六三。輿を曳かる。其の牛制めらる(とどめらる)。
   その人天せられ且つ(且に?)は劓らる(はなきらる)。
   初め无くして終わり有り。
九四。睽ひて(そむひて)孤(ひとり)なり。
   元夫に遇ふ。交々孚あり(まことあり)。
   あやうけれど咎无し。
六五。悔亡ぶ。宗に厥き、
   膚を噬む(そのそうはだへをかむ)。
   往くとして何の咎かあらん。
上九。睽ひて孤なり。豕(いのこ)の塗(ひじりこ)を
   負へるを見る。鬼を載すること一車。
   先にはこれが弧(ゆみ)を張り、
   後にはこれが弧を説す(はずす)。
   寇(あだ)するにあらず婚媾せんとす。
   往きて雨に遇はば吉なり。

素直に現代語訳してみましょう。

初九。悔いがなくなる。
   馬が居なくなっても探す必要はない、
   なぜなら馬は自発的に帰ってくるから。
   悪人を見るけれども咎はない。
九二。道ばたで主人に会う。咎はない。
六三。馬車を引っ張られる。牛を止められる。
   その人はまげを切られてザンバラ髪にされ、
   祭場で鼻そぎの刑を受ける。
   始めはないけれど終わりはある。
九四。(夫に)そむいて家を追い出された
  (不貞の)妻が元の夫と出会う。
   そして真心が通い合う。危ういけれど咎はない。
六五。悔い亡ぶ。廟堂の中でナイフで傷をつけられ、
   焼きごてをされる。
   行ったとしてどのような責めを受けるというのか。
上九。そむいて孤独になってしまった。
   脂ののった豚を背負うのを見る。
   車いっぱいに死者が積まれている。
   最初は弦を張った弓のように強いが、
   最後は弦を外した弓のように無力になる。
   略奪しようというのではない、
   結婚をしようというのだ。
   行って、雨に遇えば吉である。

 これだけ並べても統一したテーマがさっぱり分かりません。しかし「孤独」「そむく」「迫害」「結婚」というキーワードが浮かび上がってきます。

 六三には解説が必要でしょう。西周から春秋時代にかけての支那では、戦争に敗北した国の君主を犠牲に捧げることがありました。「春秋経」の僖公十九年に邾が[曾阝]の君主をだまし討ちにして拉致し、犠牲に捧げた記事があります。犠牲と言っても殺すのではなく、祭場に連れて行かれ鼻をぶたれて鼻血を戦勝国の神に捧げさせられるのです。

 マゲを切られてザンバラ髪にされるというのは、古代支那では罪人に科せられた一般的な罰です。六三は戦争に負けた君主の哀れな姿です。

 初九はどうやら人間よりも馬の方がマシだというような内容。
 九二〜六五はどうやら戦争に負けたり落ちぶれたりした人の哀れな姿
 上九はお供え物と死者の山と結婚

 なんだか不思議な卦です。

 さて古代ユダヤ教との繋がりです。

 私の解釈では沢とは睪であり、睪は動物の死体を意味します。火睪睽(火沢睽)は、火と睪の合体ですので、動物を火で燃やすという意味になります。これは燔祭です。

 燔祭とはお供え物を燃やして天の神に届けるお祭りで、中近東でメジャーな祭祀形態で、一番有名なのはユダヤ教です。ユダヤ教と言えば、律法、割礼、燔祭、過ぎ越しの祭、安息日の五点セットです。特に燔祭は古代ユダヤ教で重要視され、イェルサレムの神殿ではお供え物の羊を焼く火が絶えることはなかったと言われています。

 これだけでは睽をユダヤ教と結びつけるのは弱いです。では卦辞とイザヤ書の書き出しを対照してみましょう。

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