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2011年8月 9日 (火)

易経勝手読み(二六)・・・睪風大過(沢風大過)

七月十日

 「字統」によると咼は頭蓋骨、髑髏(どくろ)の前に祝詞を納めた器を置いて行う呪術とあります。禍はこの呪いによってもたらされる災厄。過はこの呪いによって通行の安全を図ることを言います。

 睪にはくぼんだ、死体という意味があり、風には晒すという意味があるので(山風蠱=殯)、睪風で大過となるのは字義に合っています。

 大過の卦辞は回春の呪文が並んでいます。これはおそらく、既に生命を失った髑髏に、回春の呪文をかけることで、生命力を回復させて呪術に使おうとしているのでしょう。なんだか立川流の秘儀みたいです。

 なんのための呪術かというと、上六に「過渉滅頂」(川を渉るに当たって、頭のてっぺんまで水に漬かることがあるか)とありますので、渡河の安全を祈る呪術でしょう。

 「字統」によると、甲骨文には捕虜を使って渡河の安全を確かめた(捕虜を前に歩かせて渉れるかどうか確かめた)記述が多く見られるとありますので、大過とは死者の霊に先導させることで、危険を取り除く呪いではないかと考えられます。

籍くに白茅をもってす
枯れ楊(やなぎ)稊(ひこばえ)を生じる
老夫それ女妻を得たり
棟(あうち)橈む(たわむ)、棟隆し(たかし)
枯れ楊華(はな)を生じる
老婦それ士夫を得たり
過渉するに頂を滅せんや

茅を敷いて(髑髏を安置する)
枯れ柳から脇芽が出てくる
老いた男が若い妻を得る
栴檀の木がたわわに実り、天高く成長する
枯れ柳に花が咲く
老いた女が若い夫を得る
川に深い瀬がありやなしや

 楊(やなぎ)は幹も枝も折れ曲がるので年寄りの比喩として使われます。ひこばえは切り株から出てくる芽です。枯れた柳からひこばえが出てくると言うことで、老人に春が返ってくることの比喩です。枯れ楊華を生じるも同じです。

 棟は従来の解釈ではむなぎとされてきましたが、漢字本来の意味は「あうち(あふち)」という木で、栴檀とも言います。

 栴檀はいくら剪定しても花を咲かせる生命力の強い木です。白い毛のような細い花を咲かせるので、花を咲かせた栴檀を遠くから見ると白髪の老人のように見えます。

 堯は窯の中で陶器がごちゃごちゃとしている状態なので、橈とは木に花がたくさん咲いている状態や、木に実がたくさんなっている状態です。

 また栴檀は伸びるのが早い木として知られています。老人が花を咲かせて背が伸びると言うことで、これまた回春の語句です。

 髑髏を使うおどろおどろしい呪いですが、呪文はどこかユーモラスです。

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