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2011年8月20日 (土)

デンパ経済学再び

七月二十一日

 旅行中に宿ですることがないので、ぼけーっと熱力学と経済学の対応関係を考えていました。

 一国の経済を熱機関と考えると、内需は熱機関がする仕事、輸出(および海外投資)は廃熱、輸入(および海外からの借金)は熱の吸収でしょうね。私は最初GDPを仕事と考えていたのですが、それだと輸出入がうまく当てはまらなくなるのです。

 こういうとちょっと語弊がありますが、人間によって製造される物は廃棄物と同じなのです。役に立つ立たないは人間の価値観が決めますが、自然の立場に立ってみると、コンピュータも生ゴミも人間が作り出した廃棄物です。

 供給力過剰は、一生懸命ゴミをため込んでいると同じ事で、外界に製品を排出しないとその国の経済は熱的に死んでしまいます。支那の場合は国内で熱機関を回しすぎて、廃熱(輸出)をしないと熱的に死ぬ状態にあります。

 じゃあ日本はどうなのかというと、冷房を回して国内を冷やして、廃熱(輸出)を海外に輸出しているのと同じ事でしょう。物を作って売れば売るほど日本人が貧しくなるのは、熱力学的にいって、一生懸命クーラーを回しているのと同じだからです。

 新興国というのは、先進国の廃熱で動く補助的な熱機関みたいな物でしょう。新興国というのは国内の所得水準が低く、これは熱機関の温度が低いことを意味しますので、自分で発熱しなくても、先進国からの廃熱だけで熱機関を作動することが可能なのです。国際収支が赤字なのに経済成長が続けられる新興国が不思議で成りませんでしたが、廃熱で動く熱機関と考えれれば理解できます。

 そして廃熱で動くから熱効率は低いのですね。

 債務というのは、熱機関内部に滞留する熱エネルギーです。債務過剰になった国は熱的に死ぬので、クーラーを回して熱を外に排出しなければなりません。しかしクーラーというのは熱機関としては効率が悪いので、熱を作り出すときよりも廃熱をする方がエネルギーも時間もかかります。これが現在の先進国の状況でしょう。

 そして債務を返済するためには、海外に熱エネルギーを排出するしか方法がないのです。熱エネルギーは消えません。移動するだけです。これといっしょで、債務も消えない。移動するだけです。

 熱を消そうとしてクーラーを動かすと、余計に熱が発生します。部屋の温度は下がりますが、室外機からは部屋の温度低下分を上回る熱が排出されます。これが債務返済のからくりです。

 債務を返済しようとすると、それ以上の廃棄物(工業製品の輸出)か債務の付け替えによる総債務の拡大(政府債務の拡大)が生じます。

 バブル崩壊以降の日本の経済政策と、現在の欧米の経済政策がうまくいかないのは、消えるはずのない熱を消滅させることができると間違ったことにあるのではないでしょうか。

 債務は消えませんので、債務を問題でなくすには、国全体の経済規模を拡大して、債務のGDP(仕事量)に対する比率を減らすしかないでしょう。

 しかし私が考えるに、日本というのは気温が低すぎて、いくら中央銀行が気体を排出してもすぐに凝固する状態なんだと思います。こういうときはどうするべきか、家の中でたき火をするべきなのです。やはり一見無駄に見える公共事業を大々的にするべきだと言うことになります。

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経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

 べっちゃんさん、おはようございます。
 物理学は派生として、経済学がある。という事でしょうか。(別の金融工学の方のブログでは、数式は物理学の応用という話がありました。)
 リフレ派の債務の消滅の最終的な部分が語られない事には、疑念があるところで、日銀が引き受けしても債務は消滅したわけではなく、移動しているだけというのは、おっしゃる通りです。
 一部の過激なリフレ派によれば、日銀総裁が引き受けた国債を破くか燃やせば良い。と宣言していまして、頭を抱えてしまいました。
 問題は刷ったお金が市中に廻るかどうかが勝負処なわけでして、べっちゃんさんがご指摘する通り、公共事業が最も効率が良いはずなんです。海外は震災復興への参入と資機材や農水産物等の輸入に期待していることも、円高を進めている原因なのでしょうけど、リフレ派は円安(130円程度)を求めているのは、どういう事なのだと考えてしまいます。
 米国は刷ったはいいけど、公共投資には向かわず、金融関係に胎蔵され、リーマンショック後の富裕層の資産の回復だけは速かったことを見ると、日本国内のリフレ派の主張には簡単に乗れないところでもあります。
 農業批判をする際に、自給率がでてきますけど、輸入増大によることで、国産農水産物が割高で消費者に低廉で安定した消費を確保を言っているはずなのに、自給率が国内産業保護だけに使われているということだけしか見ません。でも自給率が低いことで、輸入も増やすことを正当なものとするものでもあることには触れないのは不思議でなりません。

保守系左派さんこんばんは

どうやらリフレだけでは、経済のフローの拡大はできないことは米国のこの3年間の経験でよく分かりました。

おそらく、金融緩和と、公共事業と、所得再分配の3点セットが今の先進国を覆う経済の病を抜け出すためには不可欠なのでしょう。

この3点全てを実現しようとしたのが麻生政権です(福田政権や谷垣総裁は金融緩和が欠けている。菅政権は公共事業が欠けている。)。

ここ二十年間の主流の経済学によると、これを3つ同時にやるのは狂気の沙汰であり、しかしそれしか今の苦境を抜け出す方法はなく、経済学者やエコノミストとしては麻生さんを「バカ」として問答無用で葬ることでしか自らの地位を守ることができなかったのでしょう。

また、所得再分配が全ての処方箋であるかのように主張する学者もおかしいと思います。彼らは、増税によって奈落の底に落ちつつある英国経済をどう見るのでしょうか。これまでさんざん英国を見本のように持ち出しながら、自分に都合の悪いことが英国で生じると触れなくなるのはずるいです。

これはおそらく「今公共事業を褒めるとバカ呼ばわりされる」と言うことで、学者は公共事業に言及することを避けているのでしょう。

偏頗な経済学を守るために、世界中を苦しめている、これら経済的エリートの罪は万死に値すると思っています。

新自由主義者ホイホイのみんなの党がリフレを言い出したのは、米国でリフレによる富裕層の資産の回復が早かったことに影響されてでしょうね。

マクロ的な目で見ると、金融緩和なき経済で貿易黒字をため込む(貿易売掛金が貯まる)ことは経済を破壊します。日銀は少なくとも貿易黒字を相殺するだけの金融緩和は行う義務があります。

自給率に関してはそもそも算出方法がおかしいとか、今ではほとんどの国が使っていない数値であるといった問題がありますので、これを根拠に話をするのは意味がないと私は考えるようになりました。

日銀が貿易黒字を相殺するだけ金融緩和をすれば、日本の製造業は海外での売掛金を国内に持ち込むために、国外で円を調達する必要はなくなりますので、1ドル90円台ぐらいまでは戻るんじゃないでしょうか。

輸出産業で働いている身としては100円以上に円安になるとうれしいですが、貿易黒字国で通貨安というのは自然の摂理に反しますのでそこまでは望みません。支那は貿易黒字国なのに通貨安が続いていますが、長期的にはこれは同国の経済を破壊する方向へ向かうでしょう。

債務には利子の返済がつきものですので、徳政令をやっても、国が債権者に利子までは払うことはできませんので、日銀総裁が証文を破り捨てる場合は、債権者は元本は戻ってきますが、将来に期待できる利子収入が棒引きとなってしまいます。

これを防ごうとしたら、債権を売り飛ばして素早く現金化するしかないわけで、インフレを招くでしょうね。でもデフレよりはスーパーインフレの方がマシだという考えもあると思います。

村田清風、調所笑左右衛門、山田方谷、上杉鷹山など江戸時代の名改革者を色々調べていますが、彼らの改革がうまくいったのは、産品を日田する輸入してくれる江戸という大消費地があったからなので、米国の成長が止まった今の経済の参考にはならないのですよね。

日本の歴史上、デフレが生じたのは聖武天皇の時代(唐と新羅の弱体化で軍備が不要になり、生産過剰となった)、江戸時代、昭和初期ですが、この時期に行われた施策は大公共事業(大仏造営、開拓、インフラ建設、戦争)と社会福祉の充実による家族の再建(人口増加による消費者の拡大)なんですよね。

保守派はすぐに昔は家族が結束していたかのように言いますが、日本の家族制度というのは何度か崩壊してるんですよね。一回目は古代豪族制が崩壊した奈良時代、二回目は荘園制が崩壊した鎌倉〜南北朝〜室町時代、三回目は産業革命が起こった江戸時代後期から現在にかけて。

文化・文政の頃の家族制度の崩壊もひどいですし、大正・昭和初期もひどいですよね。ですからその後の天保・明治と昭和の戦中から戦後にかけて家族制度を強調する政権が続いて、人口の増加を見たことには経済的な要請があったんです。

聖武天皇が宗教にのめり込んだことには、本人は自覚はなかったでしょうが経済的な理由があるんです。でも聖武天皇が作ろうとしたのは、血縁を超えた、国全体で家族になろうというソ連や東欧的な社会主義国家だったので、日本全体が反対を食らって、天武・持統超は断絶するわけです。

でもその後に産めよ増やせよの超子沢山な桓武王朝ができるんですね。桓武王朝が皇子・皇女を作りまくり、地方にばらまいたことは、家族制再建に資するところがあったと思います。

民主党がやろうとしている、国で子供を空照る社会は聖武天皇に近いですので、日本人の嗜好には合いません。今の状況からは信じがたいでしょうが、おそらく今後家族や伝統への回帰が急速に進むはずです。

 べっちゃんさん、おはようございます。

>どうやらリフレだけでは、経済のフローの拡大はできないことは米国のこの3年間の経験でよく分かりました。

おそらく、金融緩和と、公共事業と、所得再分配の3点セットが今の先進国を覆う経済の病を抜け出すためには不可欠なのでしょう。

この3点全てを実現しようとしたのが麻生政権です(福田政権や谷垣総裁は金融緩和が欠けている。菅政権は公共事業が欠けている。)。

 この点は、そうだと思うます。でもリフレ派の方達も含め、バランスのとれた形に持っていくための利益調整をないがしろにしていることには、疑問があります。どうしても調整機能を民間が行う事は難しいわけで、官(霞が関)によってするしかありませんが、叩くことばかりで、何ら改善措置を講じているように感じられません。
 円を刷ること自体は否定はしないのですが、ドルと円の関係より、円とウォン・元の関係のほうが円を刷らせないのではないかということがあったりしています。この辺りは日本からの仕掛品輸出→加工・製品輸入の影響というものがいまいち腑に落ちません。

あっ、なるほどそっちはそのように考えるわけですが、さすがですね。

ウォンは円とスワップ協定を結んでいますので実質的に円通貨圏に入るんですよね。韓国銀行はウォンを刷りまくっていますので、これは円が増えていることに近いです。

というか、チェンマイ・イニシアチブに参加している通貨は実質的に円通貨圏に入っているわけで。これらの国のベース通貨である円が増えると、確かに98年の時みたいに、韓国とASEANの経済を大変動させてしまう可能性は高いです。

日本の企業が円高に強くなったのは、組み立て工場を韓国、支那、東南アジアに移転させたからです。完成品が主要輸出品なら75円の円高に耐えられるわけがありません。

ただ、製造業の高付加価値品への収斂は、日本の製造業の生産性を高めますが、雇用力は減らすんですよ。

円安でより低付加価値の工業が生き残れば、雇用を確保できるという利点があります。

円高を受け入れる場合、サービス業で雇用を創出しなければなりませんが、このサービス業が労働者への福利厚生が不十分でワーキングプアを生んでいるわけです。

そして左翼の活動家は、なぜか製造業者の生活改善には熱心なのに、第三次産業はいくらひどい状況でも改善してあげようとはしないんですよね。

サービス業にはまともな労働組合がないのと、第三次産業はインテリの仕事という固い頭があるからですね。

 べっちゃんさん、こんばんは。
 貿易不均衡の際の、農水産物輸入拡大によって、一次産業を弱体化させたことと、サービス産業の拡大によって、左翼活動家は、消費者保護を強めることで、デフレ親和性が高まったことも関係しているのではないかと考えます。
 韓国との貿易決済の主流はどうなのかはわかりませんが、韓国にとって日本は金の支払いが随分と良いのではないかということがあることが、単に安いコンテンツを使うだけのメディアの意図とは違うのではないでしょうか。
 http://mainichi.jp/select/opinion/kaneko/news/20110818ddm003070089000c.html

読みながら考えました。

というか、韓国と支那は基幹部品を日本に依存せざるを得ないので、円高になると彼らの儲けが減るだけなんですよ。

売れ残りは最終組み立てをしたメーカーの在庫となるのです。

けれども、基幹部品は最終組み立てのメーカーが買った時点で需要があったと言うことになるので、理論上は基幹部品を輸出するメーカーは在庫が発生しないんです。

韓国と支那は円高だろうが何だろうが日本の部品を買わざるを得ないのです。

ただ、日本としても、彼らがへそを曲げて欧米メーカーの組み立て工場にならないように、絶えず日本製品の準最新モデルの製法を開示していく必要はあるわけです。

商店街の中小商店主というのは自民党の牙城でした。だから、左翼勢力が郊外型大型店舗の事業主と結託するのは両者にとって利点があることだったのでしょう。

問題は第三次産業に正社員雇用を求めることをやめてしまった政治と報道にあると思います。

非正規雇用でいつも政治や報道が取り上げるのは製造業の非正規雇用ばかりです。でも非正規雇用の圧倒的多数は小売りで働く人たちですよね。

非正規雇用=工場で働く人というイメージを作って、本当に改善が求められる第三次産業から目をそらしているのです。

また、小売りで働く非正規雇用は女性が多いわけですが、日本のフェミニストは小売りで働く女性の待遇改善は絶対に口にしません。それどころか、働き方の多様化とか言って、パート雇用拡大に手を貸す始末です。

多様な働き方なんて物が破綻したのは今の欧州を見れば明らかです。政治は正社員を増やすために行動すべきです。

相変わらずニュースでは製造業ばかりが出てきますが、日本を本当にサービス、内需主体の国にしたいというのならば、もっとサービス業のことを報道するべきなんです。

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