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2011年8月 5日 (金)

易経勝手読み(二二)・・・火雷噬盍

七月六日

 以下の文章には残酷な記述が含まれますので、そういうのが苦手な方は読まないでください。

 火雷噬盍は従来の解釈でも刑罰を表す卦とされています。卦辞にも「履校」(あしかせ)、「何校」(くびかせ)、「滅趾」(足斬り)、「滅鼻」(鼻削ぎ)、「滅耳」(耳削ぎ)などの凄惨な刑罰が並んでいます。ですので易をする人の中にも「噬盍は残酷な刑罰を表す卦ではなかろうか」と気がついている人は本当は多いのではなかろうかと私は思います。

 けれども「古代の王者がそのような残酷な刑罰をくだすはずがない」という儒教の思い込みに邪魔されて、従来の解釈は「噬盍は肉を噛み砕くことである」、という意味不明な解釈に逸れてしまいました。

 噬盍の「噬」は本来は「筮竹」のことであり、この卦に頻出する「肉を噬する」とは熱く熱した棒で身体に焼きごてをしたり、針で入れ墨を入れることであると考えられます。中原では入れ墨は刑罰の一種だったからです。また亀卜では亀の甲羅に熱した焼きごてを当てて甲羅をひび割れさせて占いをしますので、亀卜のことを表しているのかもしれません。

 「去」は字統によりますと神判(かぐづち、占いによる裁判)に負けた罪人を、動物の革袋に詰めて川に流すことです。古くモンゴルには密封した革袋に詰めて窒息死させるという処刑方法があります。日本神話で言えば、天照大神に逆らった須佐之男命が流された説話にこの古い裁判の記録が残っています。

 さらに盍は「去」の下に「火」を加えており、「盍」が火に関連する刑罰であることを想像させます。熱湯に手を突っ込んで火傷の程度によって善悪を判定する湯起請、もしくは罪人を煮殺す刑罰を表しているのではないでしょうか。

 書いていて気持ちが悪くなってくるのですが、腊肉とは薄く切った肉を干したビーフジャーキーです。支那には身体を少しづつ切り刻む凌遅刑という残酷な刑罰があります。毒とは女性が髪の毛を派手に飾り立てた状態です。従って「噬腊肉遇毒」とは肉をそぎ取って、肉と血で身体を飾り立てたように見せるという意味でしょう。

 このあたりになってくると、卦辞が処刑方法と言うよりは殺した後の死体を辱める方法の解説になっていると思います。

 以上の考察から、火雷噬盍とは火を使った亀卜や湯起請といった神判、あるいは焼きごての刑罰、煮殺す刑罰を、雷とは神意であり、刑罰を受ける罪人の叫びであると考えられます。

履校し趾を滅する
膚を噬し鼻を滅する
腊肉を噬し、毒に遇う
乾[し]噬し、金矢を得る
乾肉を噬し、黄金を得る
何校し耳を滅する

足かせをして足を切り落とす
膚に焼きごてをし、鼻削ぎをする
肉をそぎ取り、身体を赤く飾り立てたようにする
内臓を腹から引き出し、骨で弓矢を作る
死体を乾し肉にして売り飛ばす
首かせをして耳削ぎをする

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