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2011年10月 8日 (土)

易経勝手読み(四四)・・・風火家人

九月十二日

 なんとなく家庭的なイメージのする卦です。家とか饋(食べ物を贈る)とか婦人などの語が出てきます。だから温かい家庭を意味する卦とされてきました。

 面白いことにこの卦は序卦伝の方に原形が残されています。序卦伝では、明夷とは損害を受けることをいい、外で傷を受けた者は必ず家に帰るので、それを受けるのが家人である。としています。家人の次に来るのは睽でした。

 さて私の解釈では、というか従来の解釈でもそうなのですが、地火明夷とは商の賢哲箕子を意味します。箕子は商で最も優秀な王族でした。箕子は武王や召公、周公によく助言を与え、不安定だった周王朝の基礎を固めるのに大いに与りました。

 箕子はまさしく火天大隨(火天大有)でいうところの大隨、偉大なる捕虜です。敗戦国の王族でしたが、周の誰よりも豊富な知識を持っていました。

 箕子には、帝辛(紂王)に疑われたときに異様な風体に身をやつして狂人を装ったという伝説があります。さらに箕子には足が悪かったという伝説もあり、それは明夷の爻辞にも反映されています。

 しかし私が考えるに、箕子は神の奴隷(臣)とされるために周によって不具にされたのでしょう。それが古代の戦争の掟だったからです。

 明夷が商の賢哲を表し、睽は敗戦国の悲惨な末路を表す卦です。それに挟まれた家人は何かというと、戦勝国の軍隊が帰国する戦勝パレードです。だから戦争で傷ついた軍は家に帰るとなるのです。家人とは兵士(貴族)ではない平民、職工や商人(しょうにん)でしょう。

有を家に閑ぐ(ふせぐ)
中に饋を在ふ(とふ)
家人は高高たり[高には口偏がつく]
婦子は喜喜たり[喜には口偏がつく]
家を富まさん
王、有の家に仮る(いたる)
有は孚にして威の如し

(敵国の)神官を家に閉じ込める
中軍に御馳走を届ける
民間人は声を張り上げて歓迎する
女子供は太鼓を鳴らして歓迎する
戦利品で豊かになることを喜んでいる
王は敵国の神官が閉じ込められている家を訪問する
神官は捕虜であり、威厳を備えている
(聖別の傷や文身をされている)

 孚にして威の如しは、火天大隨(火天大有)の六五に出てきました。敵国の重要な捕虜は、傷をつけられて呪力が備わるようになるのです。その呪力を威と呼びます。

 家人はただの家ではなく、戦争に勝った軍が帰るべき祖国です。家人(民間人)が喜んでいるのは、戦利品の分け前に与ることができるからです。ただの暖かなマイホームではないのです。

 そして王は捕虜(人質)を訪問して、丁重に扱いました。この重要な捕虜は、傷物にされるなど散々な目に遭わされますが、同じく敵国に抑留されている同胞の代表者でもあったので、戦勝国に協力せざるを得なかったのでしょう。箕子が周に協力したのはそういう事情があったからです。

 序卦伝ではさらに家の道が窮まれば必ず睽く(そむく)とあります。民政が失敗して内乱が起きるという意味ですので、これは古代イスラエル王国の崩壊の正確な分析です。そして睽けば(そむけば)必ず難になるので蹇である、とあります。蹇は手も足も出なくて案山子のようにじっとしているしかないという卦ですので、これも合っています。

 このように序卦伝は前半部ではあまり使い物にならないのですが、後半分の解明には活用ができそうです。易経の後半を書いた著者と序卦伝を書いた著者が共通しているのかもしれません。

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