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2011年11月 5日 (土)

易経勝手読み(五三)・・・睪水困(沢水困)

十月十日【出雲大社神迎祭】

 睪水困(沢水困)は、爻辞の句一つ一つの意味はハッキリとしているのに、卦全体としては意味が分からなくなる難解な卦です。

 困はこまる・くるしむの意味で使われるようになったので、この卦もそういった困難な状況に陥ることと理解されてきましたが、それだけではこの卦を理解できないことは一見して分かります。

 初六や六三は森林の中に閉じ込められるとかイバラの上に座らせられるとか読めるので、なんとなく困った状況だなという雰囲気は伝わってきますが、九二や九四は御馳走攻めとか金の車とか出てくるので困った状況とは思えません。

 困という字は戸にしんばり棒をかけて閉じ込めるという意味の象形文字です。閉じ込めると言うことから、くるむという意味もあります。梱包の梱ですし、あまり用例はありませんが、包み込むような真心という意味の悃という字もあります。

 私が推測するに、睪水困は「つつむ・くるむ・とじこめる」こと一般を表現した卦ではないかと思います。困難な状況には限定されません。贈り物を包むという意味の爻辞もあります。ご神体を包むという意味の爻辞もあります。

 冒頭に出てくる臀という字だけが浮き上がっているのですが、これはおそらく物を包んでお尻のように丸まった状態のことを表しており、この卦を解明するためのヒントです。

臀なり

株木を困む(くるむ)
幽谷に入り
三歳見ず

酒食を困む
朱紱したる方来る
享祀に利用す

石を困む
蒺藜に拠る
其の宮に入る

其の妻を見ず
来ること徐徐たり
金車を困む

劓り刖る
赤紱を困む
乃ち徐なれば説くこと有り

祭祀に利用す
葛藟にて困む
[臬危][兀危]を

包んでお尻のような形になる

薪を集める
深い谷に分け入り
三年間人とつきあわない

贈り物を包んで
盛装をした辺境伯が(王宮に)来る
(贈り物は)神に捧げる

神聖な石をくるむ
イバラの上に載せ
祠に納める

結婚した女性は見られないように
お祓いをしながら
飾った馬車に覆いをかけて進む

怪我をした場合は(切断刑をする場合は)
血が出る傷口を包帯で包む
出血が収まれば包帯を解く

神に生贄の代わりに鼻血を捧げる
捕虜に葛と蔦で編んだ衣装を着せて
祭壇の上に顔を載せ、鼻を砕く

 睪水困が困難を表すようになったのは、父母の服喪もしくは謹慎を表すと考えられる初六の困于株木、怪我の処置もしくは切断刑を表すと考えられる九五の劓刖困于赤紱が変形して伝わったのでしょう。

 同時に睪水困が真心があれば困難を打開できるという意味になったのは、贈り物を表す九二の困于酒食、妻を大事に扱うことを意味する九四の困于金車が変形して伝わったからでしょう。

 六三の困于石と上六の困于葛藟は難解で、推測が強く入っています。両方とも古代の祭祀に関する句であろうと思います。

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