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2011年11月 9日 (水)

易経勝手読み(五四)・・・水風井

十月十四日

 字統や漢語林で爻辞の意味を調べてみましたけれども、水風井は基本的に井戸のことを表した卦で間違いないと思います。けれどもただ単に井戸のことを説明しているのではなく、井戸を通して王者が民を治める際の心得を説いた卦で、山睪損(山沢損)と風雷睪の家訓の一部ではないかと考えられます。

 易を無理矢理に政治家のあり方と結びつけて理解する従来の読み方に私は基本的に反対なのですが、水風井については井戸を通して政治家の心得を説いていると思います。それは白川静の字統によりますと、「井」という字は「型」という字の初文であり、「規範」という意味で使われていることが多いからです。金文では明井、師井、懐井などの用例があって、全て「井」が「規範」の意味で用いられているそうです。

 他にも井には井戸の井だけではなく、丹(辰砂・水銀)を掘るための坑、首や足に加える枷(かせ)、人や獣を陥れるための落とし穴という意味を持っていたそうです。これらの用法も水風井の中に出ます。

井泥れて(けがれて)食わず
旧井に禽无し
井谷に鮒を射る
甕敝れて漏れる
井渫れて食わず
我が心惻み(あわれみ)を為す
汲を用いるべし
王明らかならば
井に甃あり
井洌く寒く泉して食ふなり
井収めて幕する勿かれ

井戸が汚れていれば煮炊きできない
(為政者の心が汚いと民は生活できない)
古い罠では獲物は捕まえられない
(旧弊は改めるべきである)
井戸の底の鮒を弓で射ようとしても無理である
(見当違いのことをしても意味はない)
水を汲むための壺に穴があいていて水漏れすると
井戸から水をくめないので煮炊きできない
(為政者が民に目を配らないと民は生活できない)
民が困っていると神が憐れみの心を抱く
民を救わなければならない
王が英明であれば
井戸の壁には瓦が貼り付けられて
(政治が整えられて)
井戸に泥が入らなくなってきれいになり
 冷たい水が湧き出るようになって
 煮炊きできるようになる
(役人が正しく働くようになり、
 民の生活が安定する)
井戸を奪って軍陣を敷いてはならない
(兵を動かすときにも民の生活の手段を
 奪うようなことをしてはならない)

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