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2011年12月21日 (水)

易経勝手読み(六六)・・・巽為風

十一月二十七日

 「巽」は祭壇の前で二人の巫女が舞う様子を表した象形文字です。そこから神に特別に選んだ物を捧げることを意味する撰や選、神に捧げるお供え物である饌という意味が導き出されました。

 巽為風の爻辞はおそらく家長の葬儀と跡継ぎの家父権継承の儀式を表していると考えられます。その鍵となるのが斧と在の二文字です。

 巽為風の上九には「喪其資斧」とあります。普通に読むと「其れを喪し、斧を資する」となります。「葬式をして斧を得る」という意味です。古代の支那では斧は家父長権を表す呪具でした。ですのでこれは葬式のあと新たな家長が、家長の象徴である斧を身に帯びることを表した爻辞と考えられます。

 巽為風には「巽在牀下」という句が二度出てきます。「在」は字統によると斧を聖なる徴として置くことを表した字です。牀はベッドです。これはおそらく亡くなった先代の遺骸が安置されたベッドの前に、家長の象徴である斧を設置するという意味ではないでしょうか。

 もう一つ古来から意味不明とされていた「先庚三日、後庚三日」という句ですが、庚は杵で突くという意味ですので、遺骸を墓に埋める作業を表しているのではないかと思います。遺骸を墓に埋める前の三日間と、埋めた後の三日間、先代を慰める踊りやお供え物をして、そのあとで代替わりとなるという意味ではないかと考えられます。

利武人を進退せしむ
牀の下に在を巽む(すすむ)
史巫を用いて紛若し頻りに巽せしむ
田して(かりして)三品を獲る
庚に先立つこと三日
庚に後れること三日
牀の下に在に巽む
其れを喪して斧を資する

聖なる鋤と矛を持った人が死者の前で舞う
死者のベッドの前に聖なる斧を安置する
巫女に激しく踊りをさせる
狩りをして三つの獲物を獲る
埋葬に先立つこと三日間
埋葬が終わってから三日間、巽の祭を行う
跡継ぎはベッドの前の聖なる斧の前に進み
葬儀が終わった後、聖なる斧を身に帯びる

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