« 易経勝手読み(六三)・・・坎為水、離為火 | トップページ | 朝ドラを見て思った »

2011年12月14日 (水)

易経勝手読み(六四)・・・艮為山

十一月二十日

 これも難解で解読に苦労しました。睪山咸(沢山咸)と似ているので、初めはセックスに関する卦かなと思って分析してみたが糸口はつかめませんでした。しかし趾(あしゆび)、腓(ふくらはぎ)、心(心臓)、身(内蔵)、輔(頬、顎)というように身体の部位を表す字が並んでいるので、生物に関する卦であることは間違いないと考えました。

 「艮」ですが、邪眼で悪霊を退けるという意味だそうです。田んぼにぶら下がっている鳥よけの目玉みたいなものを元々は指していたそうです。

 九三に「艮其限」とあります。これは艮という字の種明かしで、限は立ち去るという意味ですので、この卦における艮は身体から各部分を取り去るという意味なのだと言うことがわかります。趾→腓→心という方向に取り去っていくとありますので、これは何らかの動物の解体だろうと思いました。

 山地小壮(山地剝)は四つ足の動物の解体でした。山地小壮では足を取り除いた後で腹を割いて内蔵を取り除きました。艮為山では趾(足ではないことに注意)を取り除いた後に腓(ふくらはぎ)を取り去るとあります。足の指が特徴的で、指のすぐ後には大きなふくらはぎ(もも)がある生物と言うことになります。

 そう、これは鳥の解体を表す卦なのです。

Cocolog_oekaki_2011_10_21_00_11

其の趾を艮る(さる)
其の腓を艮る
其れに随ひて拯はず(すくわず)
其の心を快にせず
艮は其れを限る(さる)なり
其の[夕寅]を列し心を薫す(いぶす)
其の身を艮る
其の輔を艮る
言には序有り
艮を敦にす

足先を取り除く
モモを取り除く
続いて内蔵を取り外さない
身体の中心部を割らない
艮とは取り除くことである
鳥の体を吊し燻製にする
内蔵を取り除く
腹部に付いた肉を取り除く
鳥をさばく順序である
取り除いた肉は鍋に入れて煮込む

 「心」は心臓と言うよりは羽根をむしり、モモを取り除いて残った鳥の体のことでしょう。「薫」とは文字通り煙でいぶして燻製にすることを表す字です。古代の支那で鳥の内臓の燻製が珍重されていたのかもしれません。

 燻製にした後で、「身」(妊娠を表す字、この場合内臓)を取り除くとあります。丸鳥を見たことがある人は分かると思いますが、内臓を取り除いた鳥の胴体というのは下に開いた袋状になっています。ちょうど人間の口の中のような形です。そこでそれを輔(ほほ)と表現したのでしょう。

 敦とは鍋のことですから、艮を鍋の中に入れて煮込めば鳥鍋のできあがりです。

 艮為山が鳥の解体であることの決め手は九三の[夕寅]にあります。十二支の寅の字は動物のトラとは関連がありません。十干十二支の字はどれもつけられた読みとは関連がない仮借の字です。寅の字の原義は伝わっていません。金文では矢を両手で抱えた形に描かれています。
Cocolog_oekaki_2011_10_21_00_03

 この象形文字をよく見てください、矢と言われていた部分の鏃がクチバシ、矢羽根が足、抱える両手は手羽先に見えてきませんか?私は寅という字の原義は解体された鳥ではないかと推測しています。

 列其寅とはブロイラー工場のように、鳥がつり下げられて並べられた状態の描写だろうと思います。
Cocolog_oekaki_2011_10_21_00_06

 漢文の学者は料理とかあまりしないのでしょうし、外にも出歩かないのでしょうから、料理関係や生物関係の甲骨文、金文の解読が甘いという印象を持っています。元生物学者とか、主婦の漢文学者が登場して、そういう目で甲骨文字や金文をもう一度解読し直してもらいたいと思っています。

 古代支那では動物、料理、掃除は神聖視されていました。新しい発見があるはずです。

« 易経勝手読み(六三)・・・坎為水、離為火 | トップページ | 朝ドラを見て思った »

易経・春秋」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/173723/53043877

この記事へのトラックバック一覧です: 易経勝手読み(六四)・・・艮為山:

« 易経勝手読み(六三)・・・坎為水、離為火 | トップページ | 朝ドラを見て思った »