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2011年12月25日 (日)

三陸旅行記(一)

十二月朔日

 JR東日本のスリーデーパスを使って宮古、岩泉、大船渡の方面に行って来ました。といってもボランティアみたいな立派な目的ではなく、ただの鉄道の乗り潰しのためです。

 朝6時に家を出ると三日月の横に小さく光る星が見えました。これは最も内側を回る惑星である水星でして、この前の皆既月蝕の際に国立天文台のホームページを読んでいると、12月23日の明け方東の空に水星が観測できると書いてあったため、ちょうど旅行の出発の時間なので見られるかもしれないと楽しみにしていたのでした。

Dsc_0002_2

 小さくしか見えませんが、明け方の白み始めた空で確認できるわけですので、それなりの明るさです。天文台によると0.3等星だそうです。水星と三日月の他には星はもう見えなくなっていました。水星を見たのは今回が生まれて初めてでした(もしかしたら一度くらいは水星とは分からずに見えている可能性はあるかもしれませんけれども)。

 なかなか幸先が良いなと思ったのが甘く、冬関東地方で天気がよいと言うことは強い季節風が吹いているとことを意味しますので、この時北日本の天気は大荒れの状態でした。はやて号で盛岡駅に到着すると、山田線の電光掲示板に何も表示されていません、不審に思いましたが、待合室で待っていると10時半過ぎに「強風が予想されるので、山田線は16時の列車まで運休します」とアナウンスが入りました。これでは岩泉線に乗ることができなくなります。

 慌てて時刻表をチェックすると、2分後に宮古行きのバスが駅から出ると分かったので、凍った道を転げそうになりながら走ってバスに転がり込みました。そこから宮古まで山道で三時間でした。実際あまり風は吹いていなかったのですが、あとから地元の人に聞いた話によると、山田線は全国の鉄道路線の中でも一、二の運休率であるそうです。ほとんど乗る人はいないし、峡谷を通るので、面倒なことになるよりはと運休させてしまうらしいとのこと。JR東日本は羽越線のいなほ号の脱線事故以来、特に東北は強風に対して過敏になっておりちょっとの風でも運休にさせてしまいます。

 やっと宮古駅に着くともう三陸鉄道の出発まで数分しか時間がありません。雪道をチェーンで走ってきたので、予定よりも十分以上遅れての到着でした。宮古駅は初めてだったので、三陸鉄道のホームが分かりません。目の前を見ると同じ時間に出発するバスがあります。行き先は小本駅で鉄道と一緒です。「もしかして代行バスなのかな?」と事情がよく飲み込めなかった私は路線バスに乗り込んでしまいました。次の日の朝に知りましたが、三陸鉄道のホームは、直感に反することに海とは反対側にありこの日も三陸鉄道は予定通り運行されていました。

 三陸鉄道北リアス線は、宮古の市内を陸側から海岸に出る形になっています。だから宮古—小本は内陸部を通っており、津波にやられなかったのです。

 けれどもおかげで田老の集落やグリーンピアの仮設住宅をつぶさに見ることができましたので、むしろ良かったのかもしれません。田老というと明治の三陸大津波で有名な土地で、今回もやられたと聞いていたのに、瓦礫一つないので「同名の違う場所かな?」と不思議に感じたのですが、よく見てみると田老の集落が跡形もなく消えていて、家が土台だけになっていたのでした。瓦礫が余りにきれいに片付けられていたので、そこに集落があったことがちょっと見ただけでは分からなかったのです。

 人間というのは見たことがない物は理解ができないというのがよく分かりました。きれいに片付いた被災地という光景を今まで見たことがないので、目の当たりにしてもそれがなんであるのかさっぱり理解ができず、現実味が湧かなかったのです。家の土台に囲まれていても、すぐにはそれが集落の跡だとは分からず「だだっ広い広場だな」くらいにしか感じませんでした。

 田老の他にもいくつか似たような光景を見たのですが、非常に不思議な感覚でした。きれいに片付いているので、悲惨さや悲しさは感じないのですが、平らな土地に人間の生命活動が感じられない、巨大な喪失感です。これは今まで私が感じたことのない感情で、どう表現すればよいのか今以て分かりません。悲しみも怒りも湧いてこない非常に空虚な感覚です。これはテレビや新聞の映像からは伝わってこない感覚で、その場に立たないと分からないと思います。

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