スミレちゃんがやってきた!のレビュー
アニメのパーマンのレビューです。
パーマン第388話「スミレちゃんがやってきた!」は、アニメのパーマンのラブコメの中でも傑作の一つです。
パー子のブラウス(背中にボタンがついているこった服です)のボタンをコピースミレが付けようとしますがうまくいきません。それが原因でパー子とスミレはケンカをしてしまいました。
そこでコピーのスミレちゃんはパー子の留守中に須和家にお邪魔し、三夫のお母さんから料理や裁縫を教わろうとします。
すごい飛躍ですが、そこはアニメです。それに三夫君とスミレちゃんの間には「パーマンの友達同士」という共通点があり、またスミレちゃんとしてパーマン1号にインタビューに行ったこともあるので、そこは破綻していません。
一方パー子は行方不明になったコピーを探して須和家にたどり着きます。そして三夫君にコピー探しを手伝ってもらおうとするのですが顔が分からない限り探せないと言われて三夫君に素顔を明かすことにしますが、なかなか決心がつきません。
そうこうしているうちに、ブラウスにボタンを付けられたスミレちゃんがやってきて、パー子と仲直りして、素顔を明かす話はうやむやになります。
話の筋は以上です。ではこの話にこめられている意味について分析してみましょう。
まず注目すべきはパー子がおめかしをしているところです。これまでパー子と言えば判で押したようにピンクのワンピースしか着ていませんでした。三夫君よりも服のバリエーションが少なかったくらいです(スミレちゃんとしてはいろいろな衣装を着ています)。それが今回は何を思ったかこった服を着ています。
しかもパー子の姿で着付けをしていますので、わざわざこの服装で出動しようとしていることは明白です。何らかの心境の変化があったことが分かります。
そしてボタンを付けられないコピーをなじります。パー子とコピーは非常に仲が良いので、本格的なケンカはこれが初めてです。今までもコピーが本人に「女らしくしたら」と注意することはありましたが、本人がコピーに「女の子なのにこんなこともできないなんて」と叱るのは初めてです。これによってこの時のパー子は女の子らしくありたいと思っていることも分かります。
ボタンのせいで時間を食って集合に遅れたパー子をパーマン(三夫君)は注意しますが、反論しないでしおらしくしています。これも希有なことです。いつもならば三夫君に言い返すはずです。
このように、この話は最初から異例づくめなのです。その理由はパー子が女らしさに目覚めて、そしてそれを三夫君に見てほしいからと言うことに尽きます。
おしゃれのためならパーマンの仕事に遅刻するのも仕方がないし、コピーだって理不尽になじってしてしまうパー子、完全にペースを乱していることが分かります。
そしてその後のコピースミレの行動もこのパー子の高ぶった感情を写しているのです。
負けず嫌いなスミレちゃん(コピー)はお裁縫を習いに行きますが、何とその先は須和家でした。これは三夫君にお熱なパー子への当てつけであると同時に、スミレとしても三夫君に顔を売ることで、パー子の恋路をアシストしてあげようとしていると言えます。
複雑でいかにも女らしいやり方だと思います。
この話の後、コピースミレはパー子に対して三夫君へ直接気持ちを打ち明けるように仕向けるようになるのですが、このエピソードはその走りです。マスクを外して本人として仲良くならなくちゃダメよというコピーのパー子へのメッセージです。
そしてコピースミレは料理を作るのですが、三夫君には自作チャーハンを出しませんでした。これは手料理を初めて食べさせるのは本人でなければならないというコピーの配慮です。パーマン達とコピーは真の友情で結ばれているのです。
次にボタン付けをしますが、できあがったブラウスを真っ先に三夫君に見てもらおうとするところにもスミレちゃんの気持ちが表れています。
面白いのは、何でも積極的なパーマンマスクをかぶったスミレちゃんが恋だけは奥手で、基本的に本人よりも控え目な性格になるようにできているという設定のコピーが、三夫君へ気持ちを表現するのだけはオープンであるところです。そこがパー子の大いなるパラドクスと言えます。
素直になれないパー子はこの数話後の「二人きりのエレベーター」でも発揮されています。でもこの時のスミレちゃんは緊急事態とは言え、三夫君を腰に乗っけるというものすごいことをしているのですが(^ ^;
その時二階ではパー子が三夫君に素顔を明かそうとしていました。けれどもすんでの所で明かさずにすみます。これは「10万分の1の風船を追え!」からの宿題で、パー子は正体を明かすチャンスが何度もあったけれどそれを意識・無意識のうちに避けているのです。
これは偶然の力を借りず、自分の意志で三夫君に自分の姿を明かさない限り、気持ちは本物ではない、というパー子自身の心の声であり、藤子・F・不二雄先生の視聴者へのメッセージだろうと私は思っています。
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