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2012年2月11日 (土)

易経勝手読み(七九)・・・天雷无妄(天雷无亡)

一月二十日 【建国記念日】

 やはり易経は長い間占いの書として親しまれてきた古典ですので、今作っている本に、易経の原意の解説とは別に占いの手引きも付けようと思います。アクセス解析を見ると、毎日数十人くらいの方が易経のシリーズを見てくれているようなので、それにもこたえようと思います。アクセスの傾向がランダムであるので占いの手引きとして使っているのだと思います。

 ちょっと完成が遅れますけれどね、それとページが増えるので高くなります(^ ^;64卦ですので、一つの卦に1ページずつでも64ページになるのです。

 書籍版「易経勝手読み」を作るため、ブログで書いた原稿を見直していいます。易経の解明を通して、私の漢文の知識も深まり、古代支那史への認識も新たになりました。天雷无妄の解釈も変わりました。

 天雷无妄はあの世ばかり信じて現実世界を無視する変な宗教の弊害です。

  天雷无妄はピュアな心を表すとされてきました。しかし爻辞は、働かなくても収穫があるとか、病気になっても治療しないとか、災いがあるとか、到底ピュアな心とは無関係な内容であり、何かマイナスのことを言っているとしか思えません。

 妄はおそらく最初は亡だったのでしょう。无亡では徳目として意味をなさないので、儒学者が无妄(よこしまな心がない)に変えてしまったのでしょう。无亡とは「死ぬことがない」ですから天国のことです。あの世ばかり重視して現実を無視する淫祠邪教の弊害を表した卦です。

 まあ天国は淫祠邪教でなくても持ち出しますが、穏健な宗教でも行き過ぎると、現実よりも天国で暮らすことの方が大事になって、働くことをおろそかにしたり、病気になっても治療をせずに嬉々として死ぬようになったりします。古代の中国でも、変な宗教が広まって人々が働かなくなって困ったりしたのでしょう。

初九 死ぬことのない国(天国)では
六二 耕さなくても収穫ができる
   焼き畑をしなくても有り余るほど収穫がある
六三 あの世ばかり信じるようになると
   牛舎に牛を繋いだままになり
   農民は村を離れて放浪するようになる
   農民が働かなくなると都市の人は困窮する
九四 占いに頼るようになる
九五 病気になっても
   治療をしなくても治ると信じて(結局死ぬ)
上九 悪い宗教にはまった人には
   かえって不幸がやってくる

 爻辞の解説です。初九の「无亡」は天国ばかり大事にする人達という意味でしょう。

 六二は「耕やさずして穫たり、菑せず(しせず)して余りあり」すなわち働かなくても収穫が得られるというわけで、そうであればどんなに楽か分かりませんが、現実にはあり得ません。空想の中の天国のことでしょう。

 六三はそのような天国を信じて働くことを忘れた村がどうなるかです。牛というのは動力源です。畑を耕すにも、荷物を運ぶにも使います。その牛が繋がれたままだというのですから、誰も働かなくなったと言うことです。そして農民は教団に入って放浪するようになります。

 大体どの宗教でも、カリスマ性のある教祖が現れて教えを説き始めるとやがて信者が集まり、中には仕事を放り出して教団に参加する人も現れます。働き手を奪われた家族にとっては迷惑千万です。お釈迦様やキリストですら最初のうちは若者をたぶらかす不届き者として攻撃されました。仏教やキリスト教が淫祠邪教だという意味ではありません、念のため。

 九四は宗教に熱中して占いや奇跡ばかり求めるようになるという意味でしょう。

 九五はあの世ばかり信じるようになって、病気になってもまともな治療をしなくなるという意味でしょう。

 上九は无亡だとかえって不幸になると言っています。従来の解釈では天雷无妄を「よこしまな心がない」状態としてきましたが、それなのに不幸になるというのは変な話です。けれども、天雷无妄は天雷无亡であり、行き過ぎた宗教だとするとすんなり理解ができます。悪い宗教にはまると幸せになるつもりで余計に不幸になります。

 亡には「忙しい」という意味もあります。これは死体にたかる虻(アブ・ハエ)が動き回ることからの連想です。天雷无妄にはカルトを信じて怠け者になった人達が出てきます。忙しく働かないという意味でも无亡であるのです。

 そして前の卦の地雷復と対になっています。地雷復は布を織るために一所懸命に働くことでした。それに対して天雷无妄は働かずに怠けるという意味です。(地雷復の解説は文章だけでは難しく写真や挿絵が必要なので割愛、書籍版をご覧ください)

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コメント

入院中の知人と再会できるか占い、天雷无妄五爻を得ました。
そういえば、知人は宗教をやってると聞いたことがあります。でもちゃんと手術した様子。ただ経過が良くないみたいなのです。私も相手も夢見がち。この世界で再会できることを切に願ってます。

あずれんさん、初めまして。

まあ、所詮は占いですので自分の信じたい解釈を信じればよいと思います。

私は易経は最初は占いの書ではなかったと推測しています。それがいつからか占いの書として使われるようになり、その過程でどぎつい表現とか、占いにそぐわない内容は変改されていったのだと思います。

その結果として易経は何が言いたいのかわからない書になってしまいましたが、その方が占いの手引きとしては良かったのだと思います。

お友達の病気が治ると良いですね。

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