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2012年2月15日 (水)

易経勝手読み(八十)・・・雷風恒

一月二十四日

 風天小畜は惑星、山天大畜は星座、離為火(書籍版参照)は太陽でした。雷風恒は月の卦です。そして月の満ち欠けは女性の月経の象徴でした。ですから雷風恒は月と月経の卦です。離為火は太陽で男を表し、その次にセックスを表す沢山咸がきて、女性の象徴である月を表す雷風恒が承ける。完璧な配置です。

初六 浚うこと恒なり(さらうことつねなり)
九二 毎に亡ぶ(つねにほろぶ)
九三 その徳を恒にせず
   あるいはこれ羞じを承ける(はじをうける)
九四 田して禽なし(かりしてとりこなし)
六五 その徳を恒にする
   婦人は吉
   夫子は凶
上六 振ふこと恒なり

初六 定期的に入れ替わる
九二 定期的に亡ぶ
九三 それが定期的に来なければ
   懐妊のしるしである
九四 セックスをしているのに子供ができない
六五 妻には月経が定期的に訪れる
   妻にとってはよいことだが
  (子供ができないのが男の責任となるので)夫は凶
上六 胎児はたえずお腹の中で震動する

 初六は月経です。浚うとは川底や海底にたまった泥を取り除く作業です。女性の子宮の中身は定期的に入れ替わりますので、浚うこと恒成です。子宮は羊水で満たされていますので浚うという表現はぴったりです。同時にお月様が毎月神で、満ち足りて、再び衰えるサイクルを繰り返すことも表しています。

 九二の恒に亡ぶは月が毎月新月に消えることを表していますが、生理が終わってしばらくは妊娠ができないので古代人も経血と一緒に生命の元である卵子が流れて死んでしまうことに気がついていたのかもしれません。これも月と月経の両方を表しているでしょう。

 九三の徳というのは女性の定期的な性のサイクルではないかと思います。それが恒でないということは懐妊、もしくは体調不良です。「羞」は交尾を意味します(天地否参照)。

 九四だけだと狩りをして獲物がないになりますが、六五と合わせて推測すると、セックスをしているのに子供ができないという意味になるでしょう。狩りや田んぼを耕す動作をセックスの比喩に使うのは一般的です。

 六五は不妊のこと。その徳を恒にするとは、女性の性のサイクルに問題がないこと。それなのに子供ができない場合は、不妊の責任は妻ではなくて夫にあるといっています。意外に合理的です。だから婦人が吉で、夫子は凶なのです。

 月経があっても女性に不妊の原因がある場合もありますので、必ずしも男性の責任とばかりは言い切れませんが。古代で医学が発達していなかったので仕方がないでしょう。後世の中国の男尊女卑と対比するに、雷風恒の六五は殷や西周の時代には、比較的に女性が尊重されていた証拠といえるかと思います。

 上六は胎児のことだと思います。胎児はお母さんのお腹の中で震動するそうです(私は男なので分かりませんが)。

 古今東西、月は女性の象徴だったのです。

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易経・春秋」カテゴリの記事

コメント

はじめまして。興味深く読ませていただいています。
易の解釈については、
古代/古代間の、意味伝承の断層を、単純明快にあぶり出して、
見事な解釈を提示している、本当にすばらしいものだと思っています。
ただ、この投稿などは、少しだけ気になるものを感じます。
本来は日常の格言集だったはずの易経に、形而上学的抽象化を加えて、
すでに解釈が曲げられているように感じます。
ちょうど、すでにご指摘の「素朴な格言集から、荀子の陰陽理論式解釈に至る道」を、
期せずして追いかけているような…
恒の解釈は、最初のもののほうがすっきりして良いのではないでしょうか。
月経→月というのは、世界に普遍的発想ではありますが、
素朴な古代格言集から離れた、ある種の「魔術的抽象化」の第一歩です。
女性に聞けば分かりますが、月経というのは、
「任意の日数」→「排卵」→「14日」→「月経」というメカニズムのもので、
月の満ち欠けとは、見た目の性質もやや異なるものです。

thomasさん、初めまして。

雷風恒は最初の解釈の方が牽強付会かなと思い、直したのですが、太陽・月・惑星・星座のセットというのもある意味できすぎていて、何らかの後世の人の手が入っているのかもしれません。

ご指摘のように雑然として分からないままの方が、原初の姿を現しているのかもしれません。なかなか難しいですね。

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