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2012年4月16日 (月)

詩経勝手読み(二)・・・皇皇者華

三月二十六日 【土用】

 皇皇者華は皇、華、という華やかな字面から王の直臣が四方八方に命令を帯びて馬を駆けさせる様子とされています。各聯の最後の文字には咨・諏・謀・度・詢という文字が並んでおり、いずれも難しいことを相談するという意味なので、いかにも王に信頼された側近が密命を帯びて四方に散るというイメージです。

 しかし、この詩は馬の調教師の競技会の様子を歌った詩です。我馬維○というパターンが続いていますが、維とは何かを紐に繋ぐことです。つづいて六轡□△というパターンが続きます。轡は馬を操縦するために馬に噛ませるハミと手綱を意味する字です。

 ○には馬偏の漢字が並んでおり、従来はこれを様々な毛色の馬と解釈してきましたが、旁の方を調べてみると、色と言うよりは形を表していることが分かります。そして□△も形や状態を表す字が入っていますので、これは六頭の馬を複雑な形に整列させて走らせる技を競う競技を描写した詩です。咨・諏・謀・度・詢は審判団の採点です。

 この場合乗馬ではなく、戦車に馬を繋いでひかせる馬術であることは言うまでもありません。

皇皇者華 白く輝く白樺が
于彼原隰 並んで生える湿原に
駪駪征夫 数多くの馬と調教師たちが
每懷靡及 今年もまたやってきた

我馬維駒 私は馬をギャロップ(全速力)で走らせます
六轡如濡 馬の汗とよだれで轡が濡れる
載馳載驅 馬車を繋いで走り回ります
周爰咨諏 さあ審判のみなさんご採点を

我馬維騏 私は馬を碁盤目のように並べて走らせます
六轡如絲 手綱がからみ合って組紐のようでしょう
載馳載驅 馬車を繋いで走り回ります
周爰咨謀 さあ審判のみなさんご採点を

我馬維駱 私は馬を二列に並べて走らせます
六轡沃若 手綱がじょうろの水のようでしょう
載馳載驅 馬車を繋いで走り回ります
周爰咨度 さあ審判のみなさんご採点を

我馬維駰 私は馬を等間隔に並べます
六轡旣均 手綱が等しくピンと張りました
載馳載驅 馬車を繋いで走り回ります
周爰咨詢 さあ審判のみなさんご採点を

騏・駱
Cocolog_oekaki_2012_04_16_22_18
其は易経の箕子(地火明夷)で述べたように、格子に編んだザルのことです。したがって騏とは馬を格子状に並べることです。

各、客、格などすべて一対一になるという意味があります。駱駝が駱なのはモンゴル平原にいる駱駝はフタコブラクダで、背中に一対一にこぶが並んでいるからです。漢字というのは非常に合理的ですね。漢字を探るに当たって、訳の分からない宗教を想定する必要はありません。必要なのはロジックです。


Cocolog_oekaki_2012_04_16_22_24
因には根元という意味があり、六轡既均とありますので、根元から均等に並んだという意味でしょう。競技は徐々に難しくなると考えるのが自然ですから、一番最後は一番難しそうな並びだと思います。馬を均等に並べて、その場で馬車を回転させるのだと思います。

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