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2012年7月21日 (土)

詩経勝手読み(二九)・・・頍弁

陰暦 六月三日

 頍弁は兄弟の結束の強さを誇ると同時に、面倒な姻族との付き合いを皮肉る詩です。久し振りの兄弟の再会と、あまり有り難くない姻族との宴会が同時に歌われていると言うことは、おそらくこれは結婚式を歌った詩ということになります。

有頍者弁 髷を覆う冠
實維尹何 かたくるしい冠なんか脱ごう
爾酒既旨 お前と飲む酒のどれだけ美味しいことか
爾殽既嘉 お前の用意した御馳走は実にうまい
豈伊異人 他人ではない
兄弟匪他 兄弟ではないか
蔦與女蘿 松や柏の木にからまる
施于松柏 つたやかづらのように長く切れない間柄
未見君子 長いこと会えずにいて
憂心弈弈 恋しい気持ちが募っていたが
既見君子 やっとお前と会えた
庶幾說懌 再会を喜び合おう

有頍者弁 髷を覆う冠
實惟何期 ああ何年ぶりだろう
爾酒既旨 お前と飲む酒のどれだけ美味しいことか
爾殽既時 収穫したばかりの獲物
豈伊異人 他人ではない
兄弟具來 兄弟が皆集まったのだ
蔦與女蘿 松や柏の木にからまる
施于松上 つたやかづらのように長く切れない間柄
未見君子 長いこと会えずにいて
憂心怲怲 苦しい気持ちで塞がっていたが
既見君子 やっとお前と会えた
庶幾有臧 楽しいことを語り合おう

有頍者弁 髷を覆う冠
實維在首 脱げないように首にしっかり紐を結んで
爾酒既旨 あなたの酒は美味しいですね
爾殽既阜 御馳走も山ほどありますね
豈伊異人 他人ではない
兄弟甥舅 兄弟と姻族
如彼雨雪 (姻族は)雨や雪のようなものだ
先集維霰 集まったとしても霰のように(すぐ消える)
死喪無日 いつ死ぬか分からない
無幾相見 どうせ次はいつ会えるかも分からない
樂酒今夕 今日の酒を楽しもう
君子唯宴 とことん飲もうではないか

 この詩は難しい記述はほとんどないのですが、「實維尹(伊)何」「實惟(維)何期」「實維在首」の3カ所だけが難解です。その三つの前にある「有頍者弁」は冠のことですから、冠に関係ある何かと言うことになります。

 第一聯と第二聯は気の措けない兄弟同士の宴会です。「尹何」は「なにをたださん」と読むことができます。「實維尹何」は冠のあご紐をしっかり結ばなくても良いではないかという意味で、無礼講でいこうと呼びかけているのではないでしょうか。

 「何期」は「何年」という意味でしょうから、「實惟何期」は何年ぶりだろうかという意味でしょう。

 「實維在首」は直訳すると、「首に綱がある」とう意味になります。冠をしっかりと結びつけることでしょう。続いて姻族との宴会が読まれていますので、かたくるしい宴会を皮肉っているのでしょう。

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