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2012年7月11日 (水)

詩経勝手読み(二七)・・・裳裳者華

陰暦 五月二十二日

 裳裳者華は結婚式の歌です。それも新婦が歌った詩です。覯は思いがけなく出会う、あるいは結婚するという意味の字です。語義通り素直に結婚の詩と考えるべきです。

 華は白樺の木を表しています。白樺の白さで結婚衣装を表していると同時に、これからの二人の人生も表しています。第一聯では葉に露の置く春先の白樺を通して初々しい二人を、第二聯では秋の黄色く染まった葉で円熟した二人の愛を、第三聯では冬の葉が落ちて白い幹だけになった白樺を通して老いた二人の愛を表しています。

 第三聯の後半は、馬車に乗って妻の実家から、夫の家へと向かう二人を歌っています。第四聯は、あなたが左と言えば左、あなたが右と言えば右、あなたにずっと付いていきます、と詠まれており、どこかの国の歌謡曲のような句が並んでいます。若い二人の旅立ちは、洋の東西、古今を問わず、初々しく美しいです。

裳裳者華   白樺のように真っ白な花嫁衣装
其葉湑兮   その葉には美しい露がしたたる
我覯之子   私はこの人と結婚します
我心寫兮   私の心を尽くします
我心寫兮   私も心を尽くします
是以有譽處兮 お互いを誇りに思います

裳裳者華   白樺のように真っ白な花嫁衣装
芸其黃矣   その葉が黄色く染まるまで
我覯之子   私はこの人と結婚します
維其有章矣  美しく飾り立て
維其有章矣  美しく飾り立て
是以有慶矣  今日は喜びの日です

裳裳者華   白樺のように真っ白な花嫁衣装
或黃或白   黄色い葉が落ちて幹だけになっても
我覯之子   私はこの人と一緒です
乘其四駱   四頭立ての馬車に乗り
乘其四駱   四頭立ての馬車に乗り
六轡沃若   轡がじょうろの水のように広がります

左之左之   あなたが左と言えば左
君子宜之   あなたのおっしゃるとおりに
右之右之   あなたが右と言えば右
君子有之   私はあなたのものです
維其有之   あなたについていきます
是以似之   馬(夫)と馬車(妻)に似て

 末尾の「是以似之」が難解ですが、これは馬と馬車を夫婦に例えているのでしょう。馬は力強く馬車を引っ張ります。これは家族を養う夫を表しているのでしょう。馬車は馬に付いていき、人や荷物を載せて運びます。家を守る妻を表しているのでしょう。

 馬だけでも馬車だけでも、乗り物として成立しません。両者が合体して、初めて重い荷物を遠くまで運ぶことができます。第四聯を見ていると、男尊女卑で、女は男の言うがままみたいに読めますが、末尾でそうではないことが分かります。夫婦は共同作業だと言っているのです。非常に巧みな比喩と言えましょう。

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