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2012年8月 4日 (土)

詩経勝手読み(三三)・・・角弓

 角弓は、無軌道な生活をしていれば、民衆がまねをして秩序が崩れるとありますので、支配者の子弟(おそらく周の王子たち)を戒める教誡詩です。

騂騂角弓 鹿の角で作った弓のように

翩其反矣 反り返り反発しあう
兄弟昏姻 兄弟姻族が

無胥遠矣 団結せずあい疎遠である

爾之遠矣 お前達が疎遠になれば

民胥然矣 民衆もそれでも良いのだと思うようになる
爾之教矣 お前達が模範を示せば

民胥傚矣 民衆は皆倣うだろう

此令兄弟 模範的兄弟は

綽綽有裕 伸び伸びとリラックスしている
不令兄弟 ならず者の兄弟は

交相為瘉 お互いが頭痛の種

民之無良 悪い民衆は

相怨一方 お互い憎み合う
受爵不讓 栄誉を受けても共有せず

至于已斯亡 返って己を滅ぼすに至る

老馬反為駒 老人が若者の真似をするのも見苦しい

不顧其後 後先を考えず
如食宜饇 飽きるほど食べ

如酌孔取 大いに飲む

毋教猱升木 テナガザルに木登りを教える必要はない

如塗塗附  崩れやすい土壁を絶えず塗りなおす(キリがない)
君子有徽猷 立派な人には規範がある

小人與屬  つまらない人は徒党を組む

雨雪瀌瀌 雨や雪は跡形もなく

見晛曰消 気がついたときには消えている
莫肯下遺 何も跡は残らない

式居婁驕 何層もの屋敷を建てても(意味がない)

雨雪浮浮 雨や雪はフワフワとして

見晛曰流 風に流される
如蠻如髦 定住しない南や西の野蛮人

我是用憂 彼らのような生き方をすることを憂う

 内容を要約すると

第一聯 親族の仲違い

第二聯 一族で団結して民衆の模範たれ

第三聯 兄弟仲良くすべきこと

第四聯 強欲な民衆

第五聯 老人がのさばる弊害

第六聯 できる人とできない人の差

第七聯 この世の栄華の空しさ

第八聯 浮ついた風潮を憂う

 このようになり、この詩の作者には今の世の中は一族の団結が崩れ、互助の精神が失われ、本来若者を教え諭すべき老人が快楽におぼれ、人々の間で教育の程度の差が大きくなりつつあると言う問題意識があることが分ります。

 これは都市化、市場経済の発達によっていつの時代のどこにでも起きる共通の社会変化です。人々は血縁的な関係から独立して孤立するようになり、社会の横の連携がなくなって弱者が省みられなくなる。血縁や地縁の中で無償だった教育が崩壊して、教育が市場化したため、余裕がある人たちは子弟の教育に力を入れられるようになる反面、余裕がない人は教育が受けられなくなって、ますます所得を得られる機会から遠ざかる。

 第七聯では高層建築のことをいっていますので、この時期基本的に世の中は繁栄していたのでしょう。それと人々が髦(まげを結わない西の民族)、蛮(南の民族)のようになってしまうことが心配だとも言っていますので、西や南の人が回りに増えていたのでしょう。詩の作者は心配していますが、貿易で都市が発達し、世の中は繁栄していたのだと思います。おそらく西周の後半の詩ではないでしょうか。

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