詩経勝手読み(三八)・・・隰桑
隰桑は養蚕・機織の技術者としての召公の徳を慕った詩です。先の黍苗では召公は湿地を征服していました。隰桑では召公は丘に桑を植えて養蚕を広めています。隰桑では召公は民衆を思いやる慈悲深い君主です。
召公の人物像が複数あって定まらないのは、召公は特定の人物を表していたのではなく、周の初期に社会の発展のために尽くした殷の技術者一般を「召」と呼び、彼らの伝説が集合して召公という人物像が作られたからでしょう。
隰桑有阿 開墾した丘に桑を植えよう
其葉有難 その葉は素晴らしい
既見君子 立派な方(召公)がいらした
其樂如何 その楽しさはいかばかりか
隰桑有阿 開墾した丘に桑を植えよう
其葉有沃 その葉はしっとりとしている
既見君子 立派な方がいらした
云何不樂 楽しくないということがろうか
隰桑有阿 開墾した丘に桑を植えよう
其葉有幽 その葉は木陰を作る
既見君子 立派な方がいらした
德音孔膠 恩恵が広くいきわたる
心乎愛矣 お優しい心
遐不謂矣 乱暴な口を利かない
中心藏之 偏らない心をお持ち
何日忘之 あの方を忘れる日があるだろうか(ない)
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