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2012年9月 1日 (土)

平清盛の力の源泉

 全然人気がなくて、それが返って注目を集めている大河ドラマの平清盛。私も「やさしい易」の執筆や仕事が忙しくて見ていないのですが、dragon_suplexさんとの会話で話は追っています。

 それで会話の中で、平家がなんであそこまで強くなれたのかやっぱりよく分からないね、白河院の御落胤というだけでは説明が付かないとなったのですが、今日理由の一つを思いつきました。

 平清盛というのは、物品ではなくて貨幣を輸入するという世界にも例を見ないユニークな貿易システムを産みだした人なんですね。

 日本人には自覚はありませんが、こんなにひたすら貨幣を輸入し続けた国は世界史にありません。金を輸出して、価値が劣る銅を輸入していました。あるいは工芸品とも言える日本刀を輸出し、銅を型に流し込んだだけの銅銭を輸入していました。多分宋元明の商人は日本人はバカなんじゃなかろうかと思ったでしょう。

 でもこれ、経済的には非常に合理的な行動です。貨幣を貯め込むのが経済成長の条件だからです。いくら価値の高い貴金属や工芸品をため込んでも、経済活動は活発化しませんが、流通する貨幣が増えれば人間の活動は活発化します。

 しかも東アジア共通の貨幣である宋銭(明銭)を自国の通貨にしてしまったわけで、これだと為替損益や手数料が発生しません。

 平家が生み出したこの世界にも例を見ない貿易システムはもっと、世界史・経済学で注目されても良いと思います。日本がアジアで真っ先に近代化に成功した理由があるかもしれません。

 当時の日本も、工業技術は売るほどあったけれど、肝心の流動性が不足していて、平安時代の停滞がありました。しかし平家が貨幣を輸入するシステムを作ってくれたおかげで日本の経済は飛躍的に成長するのです。

 従来の歴史学では農業技術の進歩だけで、鎌倉〜南北朝の生産力増加を説明していたのですが、経済学的な目で見れば、銅銭輸入システムのインパクトの方が大きいはずです。

 貨幣の流動性の大切さを分かっていたのだから、平家や足利幕府は今の財務省や日銀よりも賢いことは間違いない(笑)

 貴金属や武力を輸出して文化を輸入する遣唐使システムも世界に例を見ないシステムでした。日本人は結構ユニークな経済システムを発明しているんです。徳川幕府の鎖国システムも一種の発明です(外洋に出られる技術力と武力を保持した上で、敢えて内にこもる決断をした民族は日本人だけ)。明治から現在まで続く加工貿易システムをアジア全体に広がって、アジアを豊かにしています。

 日本人はすぐに精神的なもので自国の発展を説明したがるのですが、このようにきちんと世界にも例を見ない経済システムを次々と発明し続けているのです。先進国がはまった流動性の罠と高齢化に対しても、何か解決策を見いだせるはずと私は思っています。

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経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

貨幣を貯め込み経済成長に繋がるので合理的だとおっしゃってますが、これは重商主義と言われアダム・スミスが批判したものではないでしょうか。
もちろんこの時代は物々交換で経済が行われていました。なので銅銭を取り入れ貨幣経済へ移ったことは経済発展に繋がりました。
しかし現代の経済問題とはまた別の話です。

室町時代には手形や為替に当たる物がありましたので、平安時代でも手形や為替はあったでしょう。

ただし、それを扱えるのは院や藤原氏の力を背景にした豪族だけだったでしょう。

貨幣は権門勢家を背景に持たない人達の経済活動を活発化させる降下があったと思います。

いわゆる、古代は物々交換経済だったという説明がよくなされますが、この物々交換というのは、取引が毎回決算される取引ではなかったはずです。いちいち米や布を持ち歩くのは非効率すぎますからね。

おそらく、両者掛け売りの積み重ねで取引を続け、年末に決算がなされたのではないかと考えられます。これは現金を極力使わずにチェックで買い物を済ませようとする欧米人のやり方に近い。おそらく欧米は貨幣が不足していた時代の取引慣行が強く残っているのでしょう。

日本人や中国人が現金での取引を好むのは銅銭の影響だと思うんですよね。

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