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2012年10月13日 (土)

詩経勝手読み(五三)・・・騶虞

 騶虞は従来より意味不明とされている詩です。しかし、何彼襛矣と野有死麕が襄公と文姜の不義密通を告発した詩であることが分かった今、騶虞の意味も初めて明らかになります。

 騶とは馬車に乗る人です。虞とは葬儀の仕上げのことで、親族が死者の埋葬を終えて家に帰り、死者の霊を安んずるために行う儀式です。即ち騶虞とは馬車に乗った死者が埋葬のために家に帰るという意味になり、斉の襄公に殺された桓公の悲しい帰国であることが分かります。

 豝は大きい豚で、豵は三つ子の豚です。三つ子の豚とはえらくニッチな意味を持った漢字ですが、漢語林にきちんとそう書いてあります。豝と豵は文姜の息子たちです。魯の公子を豚とはひどい表現ですが、当時から彼等は襄公と文姜の近親相姦によって生まれた子供という噂が立っていたので、豚と表現されたのでしょう。

 「彼茁者葭と彼茁者蓬」は「そこらへんに生えた雑草」というほどの意味ですが、桓公の息子たちのことを「どこの馬の骨の子供か分かったものではない」と揶揄する句です。

 豝が桓公の後を継いだ荘公。豵が三つ子の豚、即ち慶父(仲孫氏)、叔牙(叔孫氏)、季友(季孫氏)です。後の世の人達は彼等を三桓と呼びました。文姜の一件で権威を失った魯の公室は魯の国内でもないがしろにされ、魯は三桓に支配される国になります。

彼茁者葭  そこらに生えた葦の草
壹發五豝  取るに足らない大豚が従う(荘公)
于嗟乎騶虞 ああ馬車に乗った物言わぬご帰還

彼茁者蓬  そこら辺に生えたヨモギ
壹發五豵  取るに足らない三匹の子豚が従う
于嗟乎騶虞 ああ馬車に乗った物言わぬご帰還

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