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2012年10月31日 (水)

詩経勝手読み(五九)・・・旄丘

 詩経の邶風、鄘風、衛風は遊牧民の狄の中原侵入による衛滅亡と、覇者斉の桓公を中心とする諸侯の支援による衛復活の叙事詩です。雄大なおかつ人間心理を抉るような皮肉あり、古代中国にもホメロスに匹敵する詩人がいたことを窺わせる力作です。

 邶風、鄘風、衛風は元々全て衛の詩とされていました。三分割されたのは、衛のみが三十数編になってはバランスが悪いため、便宜的に分割されただけとされています。そして、古来よりこの中には衛滅亡と復興の詩が含まれているとされてきました。

 従来の解釈では、衛滅亡と復興に関連する詩は数編だけとされてきましたが、私は邶風、鄘風、衛風に含まれるほぼ全ての詩はこの物語で解釈できると考えています。

 撃鼓は衛の戴公が弟の公子燬に帰ってくるように呼びかける詩でした。凱風は衛を救った宣姜の七子が母の宣姜を慕う詩でした。その後に芮伯萬の詩である谷風が挟まれているのは、親不孝者の芮伯萬を挟むことで、親孝行で結束力が強い宣姜の七子の偉大さを際立たせるためでしょう。

 式微は狄の侵入を憂える詩です。そして旄丘は、衛を救うために集合したものの、狄を懼れて進軍をためらっている諸侯を衛の人が叱咤激励する詩です。

旄丘之葛兮 諸侯の旗印がからまるツタのように乱立している
何誕之節兮 あの約束はでまかせだったのですか
叔兮伯兮 親類の姫姓の諸侯よ
何多日也 どうして無駄に日を過ごしているのですか

何其處也 何をぐずぐず留まっているのか
必有與也 お供も一緒なのだから怖くないでしょう
何其久也 どうして逗留を長引かせているのか
必有以也 きっと理由があるのでしょうね

狐裘蒙戎 毛皮を着てお面をかぶった野蛮人は
匪車不東 馬にまたがり西から攻めてきた
叔兮伯兮 親類の姫姓の諸侯よ
靡所與同 狄を倒さなければならないのはみな同じでしょう

瑣兮尾兮 弱々しく風前の灯火である
流離之子 流浪する衛の人々を(救ってください)
叔兮伯兮 親類の姫姓の諸侯よ
褎如充耳 集まったはよいが耳が塞がっているようだ

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