MONSTER(ネタバレ)
浦沢直樹先生の「MONSTER」アニメ版を先月から視聴しています。漫画版は、なんだか散漫な感じがして面白味がわからなかったのですが、アニメ版は話が整理されていて、緊張感を失わない作りになっていて、非常に面白く見ています。
ストーリーはニナの記憶が戻るシーンまで来ました。マンガでも結局ニナの記憶が何だったのかは語られずじまいだったと思います。アニメでも核心は語られていません。
しかしアニメ版を見て、マンガを読んだときに感じていたことはおそらく間違いではなかったと思いました。フランツ・ボナパルタの朗読会に参加させられていたのはヨハンではなくニナであり、赤い薔薇の殺人事件を起こしたのもニナであり、幼い二人を育ててくれた養父母を殺したのもニナであり、病院で院長他2名を殺したのもニナであろうということです。
プラハの記憶が戻るシーンでは、なぜかニナはヨハンの記憶を自分の記憶としてなぞっています。それに院長が殺された際にはヨハンは仮死状態であり、とてもではありませんが、人殺しなどはできません。それに養父母が殺された際に、ヨハンはニナに対して「今日は怪物が来た」と言っています。
この怪物というのはニナの裏の人格のことです。ヨハンがニナに自分を撃つように仕向けたのは、今回の殺人が銃によるものであったため、硝煙反応を調べればニナが犯人であることがわかってしまうので、ニナの殺人をヨハンに限定するためです。
普通は二重人格者は真相が明るみに出ることを懼れます。ニナがヨハンに会うことを極度に懼れ、死んだはずのヨハンが蘇ったときに気絶し、ヨハンと再会したときに気絶し、プラハでは記憶の回復を頑なに拒否するのは、ニナの方が思い出したくない記憶を持っているからです。その記憶とは殺人鬼としての過去です。
対するヨハンは素直にプラハで過去を思い出します。ニナとの再会も進んでしようとします。これはヨハンとニナとの関係で、後ろ暗いところがないのはヨハンの方であり、ニナはヨハンに罪をかぶせた負い目があるからです。
ヨハンが殺人鬼となったのは、ニナが子供時代に犯した罪を自分の罪とするためです。子供時代のヨハンは養父母を次々と殺すニナに辛抱強く付いていき、ニナが怪物に飲み込まれないように見守るうちに、自分が怪物となってしまいました。
しかし、ニナがなぜある時期からぱったりと殺人を止めてしまったのかは闇の中です。
ニナが真犯人であることは結局最後まで表に出てくることはなく、彼女は物語の最後では元の鞘に収まって学生生活をエンジョイするシーンで終わっています。ヨハンは再度一命を取り留めましたが、殺人者の汚名(といっても大人になってから実際に彼は殺人鬼でしたが)を背負ったまま消えます。真のモンスターは罪から逃れ得たニナの方でした。
ヨハンを殺そうとしていたドクター天馬が、最後にヨハンの命を救うのは、彼がどこかで真相を知ったからだと思うのですが、そこはマンガを読んでいたときにはわかりませんでした。アニメ版のラストを楽しみにしています。
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子供時代のニナが殺人を繰り返したのは、兄のヨハンを独占するためです。
そしてニナが殺人を止めたのは、ヨハンがニナのもとを去ったので独占欲が解消されたからです。
投稿: べっちゃん | 2012年11月 2日 (金) 23時21分