詩経勝手読み(六十)・・・簡兮
簡兮は衛救援の連合軍を指揮する覇者桓公の詩です。第四聯に歌われている「西方美人」は桓公の姉もしくは妹に当たる衛の宣姜です。
斉の桓公の母は衛の公女です。衛の物語の影の主役、宣姜は斉の僖公の娘です。つまり桓公と宣姜は姉弟です。斉と衛は従兄妹同士が結婚して、通婚を重ねています。従って、宣姜の母も衛の公女、つまり桓公と宣姜は同母姉弟である可能性が高いです。
桓公が衛の救援に立ち上がったのは、同母姉の宣姜とその子供たちを助けたいという思いがあったからです。宣姜の七子は桓公にとって甥姪に当たるからです。
簡の元々の意味は竹簡で、書簡というように手紙の意味があります。桓公は衛を救うために集合せよと言う手紙を諸侯に発したのでしょう。
簡兮簡兮 (桓公は)大量の手紙を発し
方將萬舞 諸侯は慌てふためいて集合した
日之方中 太陽が高々と上がる頃
在前上處 諸侯の前に桓公が現れた
碩人俁俁 偉大なる人(桓公)は大声で号令をかける
公庭萬舞 斉の朝廷に集合した連合軍が行進する
有力如虎 兵は虎のように強く
執轡如組 馬を操るくつわが組紐のように美しい
左手執籥 (桓公は)左手に笛を持ち
右手秉翟 右手には軍配を持ち
赫如渥赭 顔を怒りに赤く光らせ
公言錫爵 諸侯に褒美を取らせる
山有榛 山にはハシバミがあり
隰有苓 沢にはオナモミがある
云誰之思 (桓公は)誰を思うか
西方美人 西方の愛しい人
彼美人兮 あの愛しい人は
西方之人兮 西にいる
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