「道」の語源
「道」の語源は白川静の字統ではどうなっているでしょうか。
「首を手に携えていく意で、おそらく異族の首を携えて、外に通ずる道を進むこと、すなわち除道(道を祓い清めること)の行為をいうものであろう。」
漢語林は、「異族の首を埋めて清められた道」としています。
そんなおどろおどろしい習慣が本当にあったのでしょうか。
難しく考える必要はありません。
人間の首には血管・気道・食道・神経が通っています。首は血液を送り出さないし、空気を吸い込まないし、食べ物を消化しないし、考えません。首の機能は血液・空気・食物・情報を伝導するだけです。
すなわち「道」の例えとして、首ほど適した物はありません。古代人は合理的なのです。
« サイの否定(3)・・・古 | トップページ | 辶の謎(1)・・・言葉と空間表現 »
「易経・春秋・漢字」カテゴリの記事
- 易経勝手読み(八七)…沢水困(2018.08.28)
- 易経勝手読み(八六)…水風井(2018.01.24)
- 古代シナ史の三重構造(2018.01.14)
- 機織りと漢字(3)…哉・載・歳(2017.07.02)
- 機織りと漢字(2)…成・戒・國(2017.06.28)
「首」と「頸」とは区別すべきでしょう。「首」には毛髪も頭脳も目も鼻も口もあります。
投稿: たま | 2013年9月25日 (水) 10時46分
たまさん、こんにちは
確かに首の甲骨文字は顔を形どっています。
しかし、生首で道路に呪いをかけたという白川静の説には何の証拠もありません。
それよりも、体の中で通り道が集中している(日本語で言うところの)「くび」にしんにゅうをプラスして道という意味にしたと考えた方が明快です。
漢字の形と意味が確定するまでには千年以上の時間がかかっています。
頸は比較的新しい(新しいと言っても戦国期という意味ですが)漢字でしょう。首で頸を表した時代も合ったんじゃないでしょうか。
投稿: べっちゃん | 2013年9月29日 (日) 12時01分
漢字の語源を調べていくと、管と追のように音と字形の関係が崩れてしまう字が出てきます。
あるいは近と欣のように甲骨文字や金文では全然違う字形なのに、なぜか楷書では同じ字形になっている文字があったりします。
漢字の形成過程は、おそらく私たちが信じているようなものではないのだと私は考えています。作った人たちがシナ・チベット語族であったかどうかすら怪しいと私は思っています。
投稿: べっちゃん | 2013年9月29日 (日) 12時07分