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2013年3月12日 (火)

辶の謎(3)・・・追

 追うはなにかの後を付いていく動作を表す漢字です。甲骨や金文では人間を追いかける意味で使われています。狩猟で動物を追いかけるのは豚を追いかける意味の遂です。

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 甲骨文字には師という字の左側が軍隊の意味で出てきます(活字にはないので仮に"シ"とします)。そのため従来の学説は軍隊と結びつけて、師を解明しようとしてきました。"シ"をつくりに持つ漢字は官・師・追・館・管・菅・棺・琯などがあります。軍隊で説明ができそうなのは官・師・追・館あたりまでです。

 

 官は役人、師は軍隊、追はおいかけること、館は偉い人が住む大きな建物、このあたりは、追を軍隊が敵を追いかける行為からの派生とすると、公・支配者という意味を共通に持っていて、何となく軍隊と関連がありそうです。

 

 しかし管は穴のあいた細い通り道のことで、菅はくだ状の植物、棺は死体を納める箱、琯は笛です。これらに共通するのは細長い通り道であり、軍隊とは関連がありません。

 

 公・支配者と細長い通り道、この二つの意味を両方説明できないと"シ"を解明したことにはなりません。

 

 "シ"はどういう形をしているのでしょうか。甲骨文字の"シ"と活字の師の左側はほとんど同じ形です。横長の二つの楕円(○)が縦に並んでいて、その中に縦棒(|)が通っています。白川静は楕円を乾し肉とし、師とは軍隊が持ち歩く携帯食だと解釈しました。

 

 私は漢字の解明に時間変化、動きを取り入れることを提唱したいです。2つの○の間を|が通っているのなら、これはそのまま解釈するべきです。上の○は入り口であり、下の○は出口です。そして|は入り口から出口まで物体が通過することを表しています。

 

 すなわち、"シ"の原義は軍隊ではなくて管です。軍隊は管から派生した用法です。

 

 ではなぜ管から軍隊が派生するのでしょうか。官・師に共通する意味は、手本、命令する人です。民衆に命令をする人が官、兵隊に命令する人が師、あるいは生徒に命令する人が師です。

 

 命令するとはどういうことでしょうか。行動に枠をはめることです。外側にはみ出さないように、必ず同じ動きをなぞるようにさせるということです。これは管の中を液体が通過するのに似ています。

 

 民衆や兵隊や子供はそのままにしておくと無秩序に行動します。まるで形のない液体のようです。しかし液体は、管を使うことによって、同じ方向へと移動させることができます。液体を管で誘導するように、大勢の人間を指揮することができるのが官であり師です。

 そして液体が管を通るように、同じ経路をたどっていくのが追です。動物のように、無秩序に逃げ惑う対象を探し回るのが逐です。追はたどっていった先に何処にたどり着くのか明確、逐はたどっていった先で何処にたどり着くかが分からない状態。

 この使い分けは現在の日本語まで残っています。ガダルカナル戦のように先の見えない戦いに兵力をとりあえず増やしていくのは兵力の逐次投入。逃げていなくなるのは逐電。

 甲骨文字は支配者側の記録です。支配者は軍隊という意味でしか"シ"を使わなかったのでしょう。しかし意味のつながりからは管の方が原義である可能性が高いです。

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