« 国債と外為抜きの特別会計 | トップページ | 安倍政権は何故消費税率引き上げを決断したのか »

2013年10月 6日 (日)

消費税増税の影響

 消費税が予定通り来年春に5%から8%に引き上げられることが決まりました。初年度の増収は5兆円、次年度以降は年8兆円といわれています。8兆円はGDPの1.7%分です。

 
 
 政府は5兆円の経済対策を打つとしています。消費税による増収が5兆円ですから、経済に与える影響は差し引きゼロになるのでしょうか。

 13年度歳出予算(国債費を除く)は70兆円です。そして12年度補正予算の執行は13年度になります、これが10兆円。13年度の歳出は合わせて約80兆円です。

 
 14年度は13年度の経済成長による歳出増(2兆円?)と経済対策5兆円が13年度予算にプラスされますので、歳出は77兆円です。13年度と比べてマイナス4兆円の緊縮予算となります。さらに増税5兆円ですので、約10兆円の緊縮予算。GDP比にして−2%のマイナス要因です。
 
 政府が歳出を急激に減らしたことはここ20年で3回あります。1回目は橋本政権の財政再建(98年)、2回目は小泉政権の構造改革(01〜02年)、3回目は鳩山内閣による補正予算執行停止(10年)です。
 
 ここ20年間の一般歳出とGDP成長の関係をグラフにしてみました。

Gdp

 98年にはアジア通貨危機が発生したため消費税率を2%引き上げ、歳出を削減したにもかかわらず財政赤字は10兆円も増えました。01年には金融危機が発生したため、小泉政権は歳出を削減したにもかかわらず財政赤字は4兆円増えています。10年は前年度の経済の落ち込みがあまりにひどく、そこから回復したため、税収は10兆円増えていますが、10年1〜3月の経済成長率は落ち込みました。
 
 01年のような金融不安は今回はありません。98年のような輸出の急激な落ち込みもないと仮定します。
 
 14年度に安倍政権がやろうとしている緊縮予算の影響を考えてみましょう。消費者は支出を3〜5兆円減らします。これがGDPを1%押し下げます。法人税や投資減税の効果はすぐには出てきません。
 
 政府はGDP2%分歳出を減らしますので、GDPは消費減と合わせて3%押し下げられます。13年度の経済成長率が2%くらいで、企業部門が14年度も引き続きこれを稼ぎ出すとしても、GDP成長は家計−1%、政府ー2%、企業+2%で合計ー1%くらいでしょう。
 
 今回は金融不安が無いのと、世界的な経済ショックは考えにくいこと、経済回復の過程にあって財政再建の必要性が国民に共有化されていることから、急激な経済の落ち込みは無いかもしれません。そうだとしても良くて0%成長ではないかと思います。
 
 GDP成長が0%以下の時には財政赤字は必ず拡大しています。来春の消費税率引き上げは財政赤字解消にはならないでしょう。
 
 14年度後半にはマイナス成長が明らかになり、5兆円規模の補正予算が組まれることになり、財政赤字は13年度と同じ30兆円規模になるでしょう。
 
 安倍総理は毛利重就を持ち出していましたが、精神論で乗り切れることではありません。毛利重就の検知はアンダーグラウンドの経済を摘発したと言えますが、消費税率引き上げは。すでに表にある経済から徴税を強化するだけですので、毛利重就の検知は参考事例となりません。
 
 マイナス成長を避けるためには。どれだけ早期に減税を打ち、企業の投資を増やし、賃金を上げるかにかかっています。
 
 復興法人税の廃止によりショックを1兆円和らげることができます。自動車取得税など消費を喚起できる減税も効果があるでしょう。また、私の試算は14年度予算が13年度予算に対して+2兆円しか増えないという前提に立っていますが、今年の経済成長を高く評価すればこれを+4兆円くらいにはできるかもしれません。
 
 これによってなんとか4兆円をかき集めて政府支出を増やせば、なんとかマイナス成長は避けることができるかもしれません。
 
 今回の消費税率引き上げは非常に危険な賭けです。経済対策は打ちすぎるということはありません。政府はあらゆる名目で歳出を増やし、消費税以外の減税をしなければ、かえって税収は減ります。
 
 マイナス成長にさえならなければ15年度以降は税収は増えるでしょう。しかし1年半でさらに2%引き上げるのは経済を潰す行為です。
 
 また、海外で経済ショックが発生した場合、直ちに来春の消費税率引き上げを撤回しなければ橋本デフレ以上の経済ショックが訪れて、今回こそ本当に日本経済がつぶれます。

« 国債と外為抜きの特別会計 | トップページ | 安倍政権は何故消費税率引き上げを決断したのか »

経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/173723/58334233

この記事へのトラックバック一覧です: 消費税増税の影響:

« 国債と外為抜きの特別会計 | トップページ | 安倍政権は何故消費税率引き上げを決断したのか »