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2014年9月21日 (日)

バラモン教との妥協

ジャータカ全集第2巻に釈迦の四姓平等の教えがバラモン教に取り込まれていった分かりやすい例があったので紹介します。
 
それは第179話「規則違反で死んだサタダンマ前世物語」です。
 
以前に紹介したように、ジャータカは現世で起きたトラブルと釈迦による前世の物語という構成になっています。前世の話は現実味のある話もあれば、ただ単に前世の物語を導き出すための枕に過ぎなそうな話もあります。
 
サタダンマ物語はまず釈迦による説話があり、しかしそれがバラモン教に抵触する話であったために、現世の枕の方で釈迦の意図を改変したことが推測できる構成です。
 
まず枕の方ですが、釈迦が近ごろの教団では戒律に反した方法で衣食を得ている修行僧が増えていると嘆きます。この戒律に反した方法の詳細がはっきりしません。しかし後半を読むとこれは身分が低いカーストから托鉢することであることがわかります。
 
これはカースト差別であり、釈迦の教えにそぐいません。だからジャータカを記録した僧侶もはっきりと内容を書いていないのです。この枕が後世の付け加えであることが推測できます。
 
そして釈迦が前世の物語を語り始めます。かつて釈迦は身分が低い旅人でした。そこにもう一人の登場人物サタダンマという若いバラモンが現れます。二人は道連れになります。
 
サタダンマはお弁当を忘れてしまいました。そこで釈迦(前世)は「お弁当をわけてあげましょう」と進めます。サタダンマは最初は断りましたが、空腹に耐えきれず、サタダンマの残り物を口にします。
 
しかしサタダンマは低いカーストの残飯を食べたことを気に病んで自殺してしまいます。
 
そこで最後に釈迦の解説が入ります。サタダンマはふさわしくない物(低いカーストからもらった食べ物)を食べることによって身を滅ぼした、だからおまえたち修行僧もふさわしくない食べ物を口にしてはならないと。
 
この話はおかしいと思いませんか?
 
ジャータカでは、釈迦は前世でも正しい聖人だったことになっています。その釈迦がくれた食べ物がふさわしくない食べ物であるはずがありません。釈迦が低いカーストから食糧をもらうと、結局身を滅ぼす、などということを説くでしょうか?
 
おそらくこの話は元々、身分にこだわって死んだ愚かなバラモンを非難する説話であったのでしょう。それならばわかりやすいです。釈迦からもらったありがたい食料を食べたのに、カースト差別にとらわれたバラモンは自ら命を絶ってしまいます。まことに愚かです。
 
ですからこの話は最初は、カースト差別にこだわって、低いカーストからのお供え物を受け取ろうとしない修行僧を釈迦が戒めた説話であったはずです。せっかく前世の釈迦から食べ物をもらったのに、カースト差別を気に病んで死んでしまうのは愚かである。低いカーストからのお供え物もありがたく頂戴せよ。まことに分かりやすい説話です。
 
しかし、これはバラモン教とは相容れません。そのため、サタダンマが自殺したこと自体は、バラモン教の教えを守る正しいこととされてしまいました。そうするとこの説話の目的がわからなくなってしまいます。
 
だから枕の部分で、釈迦が低いカーストからお供え物をもらうことを禁止する変な話が挿入されてしまったのです。

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