機織りと七夕
琴座
杼
杼は糸巻きに緯糸を巻いた道具です。糸巻きは細長い四角形だったり、棒であったりします。糸巻きから緯糸が伸びている状態は、琴座の形にそっくりです。
すなわち、琴座のベガが織姫に当てられたのは、琴座の形が機織りで使う杼にそっくりであったからでしょう。
2)彦星(鷲座のアルタイル)
銀河を挟んで織姫の対岸には鷲座のアルタイルがあります。
夏の大三角周辺の星空はこのようになっています。
銀河が白鳥座のあたりで二股に分かれています。これは、太陽系と銀河の中心の間に、光を通さない暗黒星雲があるため、その部分だけ星が見えないからです。
琴座を杼に見立てると、杼の往復運動の終端が鷲座の彦星になります。七夕伝説では織姫が彦星のもとに通い詰めになるのですが、これは織姫が機織りの杼を象徴しているからです。杼は機織りの端から端へ数えきれないほど往復するものだからです。
3)銀河と天の羽衣
織姫と彦星が緯糸であるとすると、織姫と彦星が作る直線と直交している銀河は経糸になります。非常によくしたことに、銀河はこの部分で二股に分かれています。機織りを思い出してほしいのですが、機織りは二組の経糸を緯糸を媒介して一つに合体させる作業でした。
夏の大三角形と銀河を機織りに見立てることができるのです。二股の銀河が、織姫と彦星の緯糸を通して、白鳥座のあたりで合体して、天の羽衣が出来上がる、天空に巨大な機織りが見えてきます。
機織りと夏の大三角
白鳥座の翼のあたりで西側の銀河と東側の銀河が合流します。白鳥座の翼が銀河を横切っており、これは機織りの打ち具に見立てることができます。打ち具で緯糸を手許に寄せることによって、緯糸と経糸をしっかりと組み合わせます。
鷲座の翼は、銀河の西側から東側に下りています。これは機織りの綜絖(そうこう)に見立てることができるでしょう。綜絖とは、経糸の上下を入れ替えるための機構です。
このようにして、織姫が彦星との間を往復することによって、白鳥座のあたりで天の羽衣が織りあがるのです。なんと雄大で繊細な想像力でしょうか。機織りの祭である七夕が、銀河が天高く上るこの季節でなければならなかったことがよく分かります。
古事記の星座の物語は、星座や星雲が連携するようにできています。西洋の星座も、もともとはメソポタミア由来でした。星座が生まれがメソポタミアでは、神話と星座が対応していたといわれています。
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