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2017年6月28日 (水)

機織りと漢字(2)…成・戒・國

機織りが起源と考えられる漢字として「成」「戒」「或・國」があります。

 

1)成

Kanji05

成の金文(「古代文字字典」城南山人編、マール社より)

成の金文は刃と戈(機織り)の会意です。布が織り終わったら、経糸を刃物で裁断して織機から引き離します。これで布ができあがります。したがって、物事が成し遂げられるの「成」です。

2)戒

Kanji06

戒は手と戈の会意です。布の形を整えるために、布を引っ張って偏っている形を調整したり、筬(おさ)で緯糸を引き締めて経糸と緯糸を密着させる作業を表しています。糸が引き締まって整った布が出来上がるので戒です。

3)或・國

Kanji07

或と国はもともとは同じ文字です。最初「或」で國を表し、やがて国家の方は口(くにがまえ)を付けた國で記述されるようになりました。或に含まれる「口」はこの場合、邑のように城壁で囲まれた空間を表すとされています。

私は口で空っぽの状態を表しているのではないかと思います。すなわち、糸が仕掛けられていない空の状態の機織りです。機織りの機構だけが存在している状態、これによって「組織」を表そうとしたのではないでしょうか。

機織り機のように様々な機能が連携して、一つの目的のために動く組織を「或」であらわしたのではないかと思うのです。そういえば、組織という熟語も機織りからの連想です。糸を組み合わせて布を織るように、秩序だっているので組織です。

国家機構を機織りに譬えると、人は糸になるでしょう。国家機構に入れられた人は、組み合わされて布が織られるように組織的な活動をします。多数の人間を組み合わせて活動させる仕組みそのものを「國・或」という字で表現しようとしたのではないでしょうか。人が壮大な組織の中で活動することにより、一人では全くできないような価値が生み出されることを、機織りを譬えにして表現した文字ではないかと私は考えています。

ちなみに機は機織りであり、構は木組みですので、機構というのは機織りのように、木材が複雑に組み合わさっている状態のことです。東洋人が形而上概念を生み出す際に、機織りが非常に重要な役割を果たしていることが分かります。

白川静の言う「古代祭祀」のような、具体的根拠なしに形而上概念だけを積み上げるような考え方を古代人はしません。古代人は必ず具体的で身近な事物を使って、深遠な思想を表現します。

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